2025.07.19学校行事
終業式は放送で行い、平井廣治校長のあいさつに続き、生活指導部長から「夏休みの過ごし方」について話がありました。
ー平井校長あいさつー
1学期が終わる今日、皆さんには二つの話をしたいと思います。
一つ目は「思いやり」についてです。
約1,000人の異なる人間がともに成長していくためには、「思いやり」が必要だと始業式で話をしました。
そのうえで、皆さんに問いかけてみたいのですが、この一学期間、「思いやり」の心を持って過ごせたでしょうか?
現在、世界人口は約81億2千万人、日本だけでも約1億2千万人。
それだけ多くの人がいたとしても、自分とまったく同じ価値観、まったく同じ考えという人は誰一人として存在しません。
しかし、それは決して悪いことではありません。
むしろ、もし自分とまったく同じ考え、まったく同じ価値観の人がいたとして、その人と一緒にいても成長という意味ではあまりプラスの存在にはならないかも知れません。
なぜならば、成長とは言い換えれば変化することだからです。
今の状態を良い方向に変化させること、そのためにはこれまでに自分にはなかったものに触れ、自分なりに吸収することが重要です。
人はどうしても自分と異なる考え方や価値観を持つ人を遠ざけたり、もしくは排除しようとしたりしてしまいがちです。
しかし、それでは自分で成長のチャンスを捨ててしまっているのと同じことです。
9月11日の周年記念式典でお話をしていただく薬師寺執事長の大谷徹奘様の著書に『幸せの法則』というものがあります。
その中で、大谷様は「聴話の大切さ」について述べられていました。
ここでいう「聴話」というのは、「相手の話をしっかりと聴き、相手が何を言いたいのかを考えること」という意味です。
一見しただけでは理解できないことでも、じっくり話を聴いてみることで初めて理解できることはたくさんあります。
自分自身と異なる考え方や価値観を持つ人と接する時も、同じことが言えます。
自分とは異なる考え方だからこそ、なぜそう考えるのか聴いてみる。
すると、今まで自分自身では思いつきもしなかった角度から物事が見えるようになるかも知れません。
少なくとも、自分自身の見方だけがすべてではなく、色々な考え方があることに気付くことはできるようになるはずです。
そして、モノの見方が広がるということはその人にとって大きな成長と言えます。
「思いやり」の心を持つとは、相手の気持ち、考え、立場などを理解し、お互いを尊重することです。
もう一度聞きます。
この1学期間、周囲の人を思いやることはできていたでしょうか?
もし、できていなかったと思う人は、今日から気持ちを新たにして「思いやり」を大切にしてください。
もう一つの話は、「平和」についてです。
80年前の今頃は、ちょうど第二次世界大戦の末期でした。
6月23日は日本で唯一の地上戦の舞台となってしまった沖縄で犠牲になった方々を慰霊する日。
8月6日は人類史上初めて戦争で核兵器が広島に投下され、多くの人々の命が失われた日。
8月9日は長崎に原子爆弾が投下され、多くの犠牲者が出た日。
そして、8月15日は日本における第二次世界大戦の終戦記念日です。
人間は過去から学べる生き物です。
この後、長い夏休みに入りますが、その間に「平和」について是非考えてみて欲しいと思います。
全世界で約6千万人とも言われる多大な犠牲者を出した第二次世界大戦の終戦から80年。
「戦争」は多くの人の命、夢、希望、大切なものなどを一瞬で奪い去ります。
日本では幸いなことに、この80年間、「平和」が保たれた状態が続いています。
しかし、日本では当たり前のように思われている「平和」ですが、それは決して当たり前のことではありません。
世界に目を向ければウクライナやパレスチナをはじめ多くの地域で「戦争」によって、今この瞬間も命が踏みにじられています。
なお、人類の歴史を振り返っても、これだけ長期間にわたって「平和」な状態が続くことは、むしろ例外的と言っても良いかも知れません。
我々は当たり前と感じるものに対して、どうしてもその価値を低く捉えてしまいがちです。
そして、それが失われて初めていかに貴重だったかを遅ればせながら痛感するものです。
しかし、一度失われたものを取り返すことはそう簡単ではありません。
「平和」が当たり前に感じられる今だからこそ、改めて「平和」の大切さについて、あわせて「命」の大切さについて考えてみてください。自分の「命」も、他の人の「命」も、いずれも失われてしまえば二度と戻ることはありません。
「人の命は何よりも大切なものである」…「平和」の大切さとともに、節目となるこの夏に皆で確認したいことです。
さて、明日からはいよいよ夏休みです。
夏休みといえども、皆さんが東野生であることに変わりはありません。
「知識は第一の宝、品行は最高の美、忍耐は無上の力」という建学の精神を心に留めながら、充実した時間を過ごして欲しいと思います。
その一方で、夏休みは自分自身を成長させるチャンスでもあります。
自分なりの目標や計画をしっかりと立てたうえで、自分にとってプラスとなるチャレンジをしてみてください。
2学期には「三種のWEEK」の一つでもある「芸術WEEK」も待っています。
その芸術WEEK期間中の9月11日には、百年に一度の時を、百年に一度の縁を、共有する周年記念式典があります。
夏の間に自分自身にしっかりと磨きをかけたうえで、9月1日に成長した姿を見せてくれることを期待しています。
本日配布した「東野便り」です。こちらからお読みいただけます(PDFファイル)