2023.04.22
22日の今年度第1回全学年保護者会にご来校・ご出席いただき、ありがとうございました。
各学年が会場を異なっての同時進行のため、私を含めて教職員の出入りがあわただしく、落ち着かないところもあり、また私自身にとっても初めての保護者会ということで至らぬ点が多々あったかと思います。引き続きよろしくお願いします。
学年全体の集まりでごあいさつさせていただきました。学年が異なると直接参考になる話しも少なくはなると思いますが、「あいさつ」の概要をお伝えします。
先日の入学式にはたくさんの保護者のみなさまにもご出席いただき、誠にありがとうございます。遅くなってしまいましたが、改めて御礼申し上げます。
1年生はその後、校内での上級生・在校生との対面式、健康診断などが続き、授業が始まりました。また、部活体験会にも1年生のみなさんは積極的に参加しているようです。昨日までは汗ばむほどの陽気で、窓の開けられた1年生の教室から歓声が聞こえていました。来週月曜には校外学習があります。一段とクラスの中での親睦が深まるものと願っています。
さて、入学式では、保護者のみなさまへのお願いとして、子どもたちと少し距離を置いて接してほしい、という話をさせていただきました。
私のような新米校長が思い付きでいう話ではなく、多くの先輩方が同じような話をしています。例えば「子どもとの一定の距離感が必要、近すぎると良い面も見えなくなりがち」。あるいは、「こどもたちの良きサポーターであってほしい。自分の進路を決めて、前に進んでいくのは生徒たち、保護者が誘導するのは避けてください」とも。
もうひとつ、子どもたちへの向き合い方として、私が大変感銘を受けた考え方、言い方があります。それは「子どもを水平に比較してはダメ、垂直に比較してください」ということです。
水平とは自分自身にとっての右や左、つまり周りにいる友人たちを指します。垂直とは自分自身を中心とした上下、この場合は自分にとっての過去、現在、未来ということでしょう。水平に比較する、つまり周りの人と比べない、だれだれはこういう成績だったのに、あの人はこんなものを持っている、といった比べ方。
そうではなくて垂直に、その子の過去と比べてどうなのか、半年前、1年前の様子と今の様子を比べ、成長していればそれでいい、成長したところを見つけ、拾い上げてほめることが大事だということです。
本校が力を入れている英語教育、その一つとして英語検定の全員受検があります。検定というものの特徴の一つに、自分が努力すればストレートに結果につながる、ということがあります。入学試験は競争相手がいますね、合格者の数があらかじめ決まっていれば、自分が相当努力しても結果につながらない、ことがままあります。
それと比べて、検定はある基準に達すれば合格となります。極端に言えば、本校で受検した全員が目標の級に合格ということもあるのです。学校としてはそうあって欲しいと願っているわけです。入学試験は水平での比較、検定は垂直での比較、つまり前の検定の時より勉強して努力して結果がでる、その結果が垂直での比較と言ってもいいでしょう。
子どもたちが悩むのは、あせったり、あわてたりするから、人と比較するからあせったり、あわてたりする、比べるのは自分自身、昨日の自分を超えられたかどうかが大事、そこを褒めてあげる、という言い方もできるでしょう。
さて、今年度の学校の基本方針の一つとして、保護者のみなさまに学校に来ていただく機会をできるだけ増やそうということを掲げています。保護者のみなさまを対象に本校教員が、生徒向けの授業とは一味違ったテーマで語る講座を開いていく予定です。学校にぜひ足を運んでいただきたいと言いましたが、お忙しい中なのでオンラインでの参加も検討しています。申込方法などはおってご連絡しますが、多くの方の参加をお待ちしております。
高校3年間真ん中の2学年は難しい学年とよくいわれます。高校生活を1年経験してだいぶ慣れてきた、余裕が出てきた。部活動では3年生が春先から引退していくので実質的にリーダーになる、これは自覚を持つということで大事なことだと思いますが、一方で勉強はどうなのか。進路実現・大学受験はまだ少し先で実感がない、緊張感はない。逆に言えば余裕があって自分のやりたいことにじっくり取り組める、うらやましい時期であるのですが、一方で何となく過ごしてしまう、「中だるみ」などと言われます。
A5組の学級通信で担任が「中だるみ」ではなく「中はずみ」の1年間にしていきましょう、と書いていました。このクラスだけではもったいないので、紹介します。
その「はずみ」に大きく関わるのが修学旅行です。コロナ禍で控えていた海外、カナダも含めてほぼ同じ時期に3方面に、クラス単位ではなく、一人ひとりにそれぞれ希望するコースを選んでもらうという方式です。それだけに学校としても万全の体制で臨みます。前校長の北村参与、教頭、主幹、学年主任が責任者となって引率します。
始業式では生徒たちに、旅行の準備について少し話をしました。旅行で初めてでかけたところ、そこで目にするもの、出会うもののすべてが新鮮で驚きなのは間違いはない、でも事前にしっかりと準備をしておくと、体験が何倍も奥深くなります。旅行がいっそう充実したものになります、と。
その準備ですが、まずはガイドブック的なものを手にとることでしょう。もちろん、第一歩はそれでかまいません。そんな中から自分が特に興味を持ったことについて本やインターネットで詳しく調べる、そんな作業をしてみる。このことは、修学旅行の準備にとどまらず、よく言われる「調べ学習」そのものであり、これからぜひ身につけていきたい「学び方」でもあります。
さらに欲張ったお願いをすると、それぞれの旅行先を舞台として小説や物語もぜひ手に取って欲しい、ということがあります。もちろんフィクションなので、そこから直接的に旅行にプラスになる知識が得られるわけではありませんが、小説家がその鋭い感覚で感じ取った現地の空気感から、例えば北海道の広大は大地をどう描くのか、沖縄の海をどう表現するのか、そんなことを頭に入れて実際に現地に立ってみると、感動がまた違ったものになると思います。ぜひ保護者のみなさまからそんなアドバイスをしていただけたら願います。
また、ご家庭でも、それぞれの目的地に旅行の経験がおありでしたら、ぜひ話をしてあげてください。旅行先に関する本を読んで感想を話し合うのもいいですね。
もうひとつ、2年生は将来の夢に向けての進路決定がいよいよ具体的になってきます。学年からはこの夏休みに実際に大学に足を運び、大学とはどんなところか、それを感じとって欲しいので、オープンキャンパスに出かけるよう話があると思います。ぐっと大学が身近に感じられるようになること間違いありません。
すでに進路指導部から話がありましたが、私も進路実現について話します。
始業式で3年生にはこう話しました。第一志望を最後まで貫いてほしい、と。これはぜひご家庭でも共有していただきたい。
その志望はもしかしたら高い望みかもしれません、ただ夢を持って受験勉強をする過程で、みずから目標をさげる必要はありません。強い希望が日々の学習を後押しします。特に一般選抜を考えている生徒さんの試験は来年1月から2月です、この成長過程の子どもたちは本当に最後まで成績は伸びます。結果的に第2・第3希望の大学になったとしても、自分の目標に向けて努力したことは決して無駄にはなりません。
このことについて保護者のみなさま、ご家庭にお願いしたいのは、とにかく「見守って」ほしい、ということです。あれこれ口をだしてくなる、日々の成績を見てつい一言いいたくなる、じっと我慢してください。そして、お子さんが掲げている第一志望について「そんなところは無理だ」「変えてもいいんじゃない」は禁句です。子どもたちは不安を抱えて勉強しています。そこで身近にいる信頼する保護者から「志望を変えてもいい」と言われたら飛びつくでしょう。
模試の成績が出てきます。志望校への合格可能性がAから始まってEまで判定されます。Aが一番高い、Eがついていたらやはりショックです。でもそんな時も「いい(good)判定じゃない」と笑い飛ばして、励ましてあげてください。
高校受験までは親の出番がいろいろありました、大学受験ではぐっと減ってしまいます。受験生がいると家の中がなかなか難しい空気になるということもわかります。そんな中、保護者のみなさまがいつも通りにお子さんたちに向き合い、見守ることが大事です。3年生のこの1年間の経験はご家族にとっても貴重な経験になり、家族のきずなを一層深めることはまちがいありません。