2023.06.30
朝日新聞6月27日朝刊のコラム「多事奏論」で稲垣康介記者がアスリート(スポーツ選手)の語学力について書いています。
テニスの全仏オープン車いす部門の男子シングルスで優勝した17歳の小田凱人(ときと)選手の英語での優勝スピーチがすばらしかったそうです。小田選手は外国で暮らした経験はないのですが、テニスの先輩から英語だけは勉強するようにアドバイスを受けたのがきっかけで熱心に学習したそうです。世界でプレーしていくうえで英語が必要だということだったのでしょう。
卓球の石川佳純さんは滑らかに中国語を話すのですが、卓球の強豪中学に入学した際出会ったのが中国人のコーチで、卓球上達のために中国語を習得しようと本気になったそうです。
稲垣記者は「二人のアスリートに共通するのは、外国語の習得そのものが目的ではなく、自分が打ち込む競技のために必要なツール、つまり手段だと、とらえている点だ」と書いています。
「英検週間」にあわせてあれこれ本を紹介した際に参照した『そもそも英語ってなに?』(里中哲彦、現代書館、2021年)に以下のようなくだりがあったことを思い出しました。里中さんは大手予備校で英語を教える、いわゆるカリスマ講師と言ってもいい方ですが、「外国語を身につけるにはどうしたらいいか」という質問に答える形でずばり言い切ります。「英語」はひろく「外国語」と置き換えても同じでしょう。
「いやがうえでも英語を使わなくてはならない状況にみずからの身をおけば、モチベーションが高まり、目標とする英語を手にすることができるようになります」
「英語が話せるようになりたい、というあなたが目指すべき英語はただひとつ、自分にとって必要な英語を身につけることです。そして、それはまた「内容重視の英語」でなくてはなりません」