2023.06.29
1966年6月29日、イギリスのロックバンド、ビートルズが来日しました。60年以上も前の話で、もはや「歴史」の一コマでしょう。先日読んでいた本がこの日のことに触れていて、そうかこんな時期(季節)に来たのかと思う一方で、楽しみにしていたのは、毎朝通勤時に聴いているラジオの「きょうは何の日」でとりあげられるかどうかでした。はい、ちゃんと紹介されていました。
そのビートルズ、私自身が音楽を聴き続けてきたこれまでの人生(おおげさ!)の中ではいまだに現役ミュージシャンであり、その曲を聴き返すたびに新しい発見があります。ビートルズ関連の書籍も数十冊は読んでいるので(積読もありますが)、これといった本を選び出す自信はありません(この来日だけに特化した本もたくさんあります)。
いちミュージシャンの来日がなんで歴史に残る日のように語られ続けられるのか、来日を前にして「武道館を使うのはけしからん」と公然と言い放つ人がいたり、警視庁が混乱を予想して警備本部を設け延べ3万5000人の警察官を動員したなど、ひとつの社会現象になったからでしょう。
たまたま近くにあった、切り口のおもしろさがある本をとりあげます。
「ビートルズは何を歌っているのか?」(朝日順子、シーディージャーナル、2018年)
ビートルズの曲の歌詞について、英語としての特徴や文化的背景などをコラム風にとりあげています。体系だてて何かを主張する、という内容ではないので、私自身が付箋(アンダーライン)をつけたところを少し紹介します。
行の最後が押韻されるのが脚韻で、行の中間に出てくるのが中間韻、ビートルズの歌詞で中間韻を使用した代表的なものは“Hey Jude”だ。1行目の最後の「bad」と2行目の中頃の「sad」、2行目の最後の「better」と3行目の中頃の「let her」など、きれいな押韻構成になっている。このほかに“I’ve Just Seen A Face”や Lovely Rita”でもたくさんの韻が現れる。
その“Hey Jude”、ポール・マッカートニーがジョン・レノソの息子ジュリアンを励ますために書いた曲ということはよく知られていますが、その励ましのフレーズ<let it out and let it in>、 <let it out>は“Let it all out”などとも言い、悲しんでいる人を慰める時などによく使う表現。怒りや悲しみなどの感情を「全部だしちゃえ」という意味。
対する<let it in>は慣用句ではないけれど、“breath in, breath out”(息を吸ったり吐いたりする)のように、<let it out>と並べることで面白い効果を出している。人や人の感情を「受け入れろ」という意味じゃないかな、とも。
なるほど。
リバプールの街角には若き日のジョン・レノンがたたずんでいました
(写真はいずれも10年ほど前、友人とのビートルズ&サッカー&パブの旅で撮影したものです)
ところどころにビートルズ歌詞クイズが織り込まれているのですが、これはかなりレベルが高いことを付け加えておきます。
5月18日のこのブログでも英語の歌詞についてとりあげました。洋楽がストレートに英語学習の参考になると安易に言うつもりはありませんが、マイナスにはならないでしょう。好きなものが学習の手助けになるならそれに越したことはないですから。ビートルズ初期の傑作<I Saw Her Standing There>なんて、文法の例文そのものだと思いませんか。
「きょうは何の日」ネタは5月9日の「ガリレオ裁判」でも使いました。