04-2934-5292

MENU

BLOG校長ブログ

2023.07.14

消えたことば その1

「いやあ、うまい本の作り方だな」「たぶん全部は読まないだろうな」と思いながらも、即買いでした。

『三省堂国語辞典から 消えたことば辞典』(見坊行徳・三省堂編修所編著、三省堂、2023年)

「三国」の略称・愛称で知られる「三省堂国語辞典」は1960年に初版発刊、2022年に最新の第8版が発刊されましたが、その間に新しいことばが次々と生まれ、その中から辞典に加えられることばがでてくる。その一方で、載せられることばの数には限りがあるので、削除されることばがあるわけです。

そのような「消えたことば」だけを集めて一冊の本にしてしまいました。削除されたことばだけ集めた本を作って欲しいという要望が寄せられていたそうで、それを受けてできた本なのでしょうが、そのことばが載っていた辞典の版に掲載された紙面のまま並べています。なので、見出し語や語釈(言葉の意味)、用例などの並び方や字形などが微妙に異なっているところに味があります。いやはや、すごい発想です。

ここにでてくる消えたことばを個々に紹介していったらきりがありません。「消えたことば辞典」とありますが、基本はぱらぱらと読んで、「えっ、この言葉はもう辞典に載っていないのか」と愕然とし、あるいは「そうだろうな」と懐かしんで楽しむ本だと感じます。

ただ、「もう載っていないのか」と愕然とすることばが多く見つかる人はやはり相応の年齢の人(私がそうでしょうね)、ここにでてくることばが「新語」になる人は当然若い人、ということになりますよね。

さーっとみてやはりと思うのは「ニューメディア」や「パソコン通信」などコンピュータやIT関連のことば(特にカタカナ語)が目立ちます。また、ある時期学生生徒の間で使われていたことばやファッションなどが出てくると気になります。自身にとってなじみがあっても今の生徒の前で使っても通用しないでしょうから、気をつけたい、そんな利用の仕方もありかもしれませんね。

さて、なぜどのように削除するのか。

「小型国語辞書には、今の社会に広まり、かつ定着したと判断されたことばや語義が再録されます。その「今」から外れれば、改訂時(版が新しくなる時)に削除される運命にあります」とし、消える理由をあげています。

・そもそもの存在が確認し難い語
・時の流れで忘れ去られた語
・制度の変更などにより消滅した用語
・モノとして下火になったり需要が減ったりして存在感の薄れた語
・編集方針上ふさわしくないと判断されて削られた語

などだそうです。