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BLOG校長ブログ

2023.07.27

ミュージシャンから派生してーーR16へのこだわり ①

ミュージシャンの細野晴臣さん、大瀧詠一さん、このお二人の住まい兼音楽スタジオは本校のすぐそばを通る国道16号線で結ばれていたことになり、お二人は何度もこの道路を走ったのでしょう。どちらの地域も本校スクールバスの運行範囲内で、国道16号線はスクールバスが毎日走っています(ただ細野さんが自宅で録音した「HOSONO HOUSE」が発売された1973年には本校はまだ開校していないのですが)。

『国道16号線 日本を創った道』(柳瀬博一、新潮社、2020年)

『国道16号線 日本を創った道』筆者の柳瀬さんはこの道路を「日本最強の郊外道路」であり「日本の文明や文化の誕生に重要な役割を果たしてきた」と言います。「そんな大げさな」、ではなく、古代から近現代までこの道(もちろん昔は国道ではないです)沿いに人が集まり行き交い、重要な商品流通路となり、軍隊の施設が集中したことなどが語られます。

もちろん細野さん、大瀧さんのことも語られています。さらに、本校の通学圏からはちょっと離れてしまうのですが、この本では16号線から巣立った日本を代表するミュージシャンとして矢沢永吉さん、ユーミン・松任谷由実さんかとりあげられています。

矢沢さんは1980年のアルバム「KAVACH」の中の1曲「レイニー・・ウエイ」で16号線をとりあげているそうですが、歌詞に登場するのは本牧と横須賀、ちょっと縁遠い? かも。

ユーミンは出身が八王子なのはよく知られていて同市から本校に通う生徒もいますが、2006年のアルバム「A GIRL IN SUMMER」に16号線がタイトルに入った「哀しみのルート16」が収められていることが紹介されています。

このアルバムは持っているかどうか自信はないのですが、調べてみるとベストアルバム「日本の恋と、ユーミンと。」に収録されているとのことなので、そちらで聴いているのはまちがいない。この本で歌詞の一部が引用されていますが、それを読んだら、メロディがすぐ浮かんできました。

ただ、歌詞に「ルート16」とは出てくるものの、具体的な地名はでてきません。ということだからでもないのでしょうが、ルート16というのがこの国道16号線とは、この本を読むまでほとんど意識したことがありませんでした。すいません。

まあ、中央自動車道(中央高速)を「中央フリーウエイ」にしてしまう人なのだがら、国道16号線をそのまま使わないでしょう、ルート16とし、さらに「Route16」と英語表記にしているところがいかにもユーミンですね(歌詞カードでのことなので歌ってしまえば同じですが)。聴く人に歌の舞台を自由に想像させることもねらっているのかもしれません。抽象的な歌詞ならば外国が舞台であってもかまわないわけです。

学生時代、ユーミン初期の作品はリアルタイムで聴いていましたが、細野さんはベーシストなどとしてかなり重要な役割を果たしています。

なお、この本は新潮文庫の最新刊でも発売されています。

「Route16」ならぬ「Route66」

そういえばで思い出しましたが、「Route66」というジャズのスタンダート曲があります。こちらはアメリカの国道。ユーミンはこの曲を意識したかな。

歌の内容のトーンはだいぶ違いますが。「Route66」の方は「Get your kicks Route66」と繰り返し出てきます。ルート66を楽しもうぜ、ドライブを楽しもうぜ、といったところ。ユーミンの「Route16」はタイトルにあるように「哀しみ」です。失恋の歌かな。

アメリカの「Route66」については、こんな本があります。

『ルート66をゆく―――アメリカの「保守」を訪ねて』(松尾理也、新潮新書、2006年)

筆者は産経新聞の記者、アメリカのほぼ中央部を横切るルート66(Route66)をめぐる優れたルポルタージュです。このルート66沿いの州、町はアメリカの中でも比較的保守層の多い、共和党の強い地域でトランプ大統領を生む原動力になったところでもあります。この本が出たころはもちろんトランプ大統領など誰も想像していなかったのですが。