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BLOG校長ブログ

2023.08.03

「R16」から酷道・道路趣味へ

本校のすぐ側を通る国道16号をとりあげ、「R16へのこだわり」と題してブログで2回書きました(7月27日、28日)。その続きというわけではないのですが、毎日新聞に『「酷道」にひかれて』という記事が掲載されていて(7月23日)、そうそう国道・酷道の本があったと、書棚から発掘しました。引き続き16号もでてきます。

『ふしぎな国道』(佐藤健太郎、講談社現代新書、2014年)
『国道者(こくどうもの)』(佐藤健太郎、新潮社、2015年)

筆者の佐藤さんは、道路を面白がり興味を持つのはなぜか、鉄道ならまだわかるけどと、何度も聞かれたそうですが、「鉄道方面には全く何の興味もない」。ああ、そうですかと「鉄」としては苦笑せざるをえませんが、『ふしぎな』は「道路そのものを楽しむために書かれた国道マニアの入門書」とされ、国道の歴史や特徴のある国道などが紹介されています。その一節として「酷道趣味」があり、また「国道標識に魅せられて」などマニアックな内容も含まれています。

では酷道って何? ということですが、毎日新聞の記事がわかりやすいです。

幹線道路としてのイメージがある国道だが、道幅が5メートルに満たなかったり、崖の上を急カーブを繰り返しながら通ったり、木々に覆われ林道のようだったりする道もある。そんな悪路を人は「酷道(こくどう)」と呼ぶ。通行困難で、思わず「これはひどい」とため息をもらしそうな道だ。

はい、青森県の竜飛岬にある車の通れない「階段国道」などは、旅行ガイドブックにも「名所」として掲載されよく知られています。

佐藤さんによると「危険な都道府県道などには「吐道」(都道)、「獰道」(道道)、「腐道」(府道)、「険道」(県道)、「死道」(市道)、「苦道」(区道)、「損道」(村道)などという言葉も存在している」。ちょっと笑ってしまいますよね。
そして「こうした酷道の愛好者は多く、道路趣味者の中でも最大勢力を誇っている」のだそうです。

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この形の国道の号線の標識をマニアは親しみをこめて「おにぎり」と呼ぶそうです。うまいネーミングですねえ。

「ROUTE」との英文表記も加えられますが中にはスペルが間違っているものもあり、それらを探すのもマニアの楽しみ? だとか。

まさか、と疑ってしまいますが、『ふしぎな』に実例写真が何点か掲載されています。

『国道者(こくどうもの)』は北海道から沖縄まで、特徴のある国道を「号線」に分けて紹介しています。

「国道16号」については、首都圏を大きく回る国道で「東京環状」とも言われるものの、三浦半島の先端近く横須賀市の走水と東京湾を挟んですぐ対岸の千葉県・富津岬の間が海に隔てられていて、もちろん道路はなく、完全な環状になっていないことを指摘。この東京湾の道路が欠けている部分にかつて「東京湾口道路」を造ろうという計画があったこととの関連に触れます。

東京湾の神奈川県側と千葉県側をつなぐ道路としては「東京湾アクアライン(トンネルと橋)」があるわけですが、それよりももっと東京湾の入り口に近いところにも道路橋をつくろうという計画でした。

そうそう新聞記者時代に建設中のアクアラインを船で視察取材する機会があり、それとは別にもう一つ東京湾と横断する橋を造ろうという計画を知り、びっくりしたことを思い出しました。『国道者』によると、この「東京湾口道路」計画は事実上棚上げになったそうです。そうでしょうねえ。

どちらの本も「へーっ」の連続で、あまり難しく考えず楽しく読めると思いますが、筆者の佐藤さんも、毎日新聞の記事でもふれていますが、酷道はかなり危険なところもあり、走る際には十分な準備と注意が必要ということでした。