2023.08.08
高校野球、いわゆる夏の甲子園(全国選手権大会)の熱戦が続いています。広島カープ監督新井貴浩さんの球児たちへの素晴らしい応援メッセージについて紹介しましたが(6月20日付ブログ)、その後、思わぬきっかけで同じような視点で高校野球をとらえている歌に出会いました。タイトルはそのものずばり、さだまさしさんの『甲子園』です。
1983年発表された、さださんのオリジナルアルバム8枚目になる「風のおもかげ」に収められた1曲です。スリーフィンガー奏法(フォークギターの弾き方の一つです)のギターがメインの伴奏で軽快に歌われます。
著作権があるので詞(さださんは「詩」と表記するのですがここでは一般的な方で)をまるまる紹介することはしませんが、喫茶店のテレビで甲子園の試合が放送されている、その店での男女の会話、やりとりが描かれます。
「ホームラン」とテレビが叫ぶ(もちろん実際はアナウンサーが叫ぶのですが、こういう表現になるわけですね)のを受けて「また誰かの夢がこわれる音がする」。
「3000幾つの参加チームの中で たったの一度も負けないチームはひとつだけ」、各都道府県大会の出場校を合計するとこのくらいの数になる、そして甲子園に出場して優勝するのは当然ですが1チームしかないわけです。ちなみに今年の大会、全国の予選参加チーム数は3744校でチーム数は3486とのこと(学校数とチーム数が一致しないのは合同チームがあるためですね)。
「敗れて消えたチームも 負けた回数はたったの一度だけ」と続くところに、さださんの「敗者」へのまなざし、やさしさを感じるのですが、考えすぎでしょうか。
「優勝チームの校歌を聴くとき、ああこの子たちは今年の夏一度も負けなかったのだなあと奇跡でも見る思いになる」
「同時に、それ以外の、甲子園に来る事が出来なかったチームをふと思う。そうしていつも得体の知れない熱い思いに駆られてしまうのだ」
さだまさしさんの曲は中学生からギターを弾き始めてから相当数聴いて、弾いてきました。ただ、このアルバム発表時はもう仕事についていたので音楽からは少し遠ざかり、このアルバムもこの曲「甲子園」も知りませんでした。それなりの年齢になってまたゆっくりと音楽を楽しむ余裕が出てきてから聴くのは結局、昔聴いていたロックでありフォークになってしまいます。さださんについてもベストアルバム的なものは購入して聴いてはいましたが、やはりそこではこの曲には出会えなかったのです。
長々と思い出話になりましたが、ではどこでこの『甲子園』を知ったかというと、つい先日読んだ『うらさだ』(小学館文庫、2023年)でした。筆者が「さだまさしとゆかいな仲間たち」とあるように、落語家の笑福亭鶴瓶さんやミュージシャンの高見沢俊彦さん(アルフィーのメンバー)、やはりミュージシャンで災害地でのボランティアコンサートなどを一緒にしている泉谷しげるさんら、さださんと交友がある人たちが、自由に「さだまさし」を語っているという内容です。
その中でカズレーザーさんがこの『甲子園』をとりあげていました。あの金髪で真っ赤な衣装の方です。さださんと交友があったことすら知らなかったのですが、思わぬところから新しい曲を知るきっかけに感謝しました。
こんな発見、出会いを用意してくれるから、本を読むことはやめられませんね。
カズレーザーさん、ネットで検索したら埼玉県加須市出身、熊谷高、同志社大卒だそう。埼玉の人だったんですね。