2023.09.22
西村朗さんが「N響アワー」の名物コーナー、「今宵もカプリッチョ」で音楽家、芸術家の師弟関係について語っていることを紹介しましたが、ベートーヴェンのように直接会うことのなかった「師」ではなく、まさに大きな影響を受けた「師」として、西村さんのエッセイ集『曲がった家を作るわけ』(春秋社、2013年)に東京音楽大学の助教授時に仕えた伊福部昭教授があげられています。ゴジラの映画音楽で知られていますが日本を代表する作曲家の一人です。
この本は、西村さんが還暦を迎えたことを期にまとめたエッセイ集とのことですが、この伊福部さんをはじめ山本直純さん、岩城宏之さんといった作曲、指揮の先輩たち(いずれも故人です)、N響アワーでは西村さんの前の司会者、池辺晋一郎さんらとの交友、また作品を提供した音楽家たちとの、作品を仕上げるまでの厳しいやりとりなどを振り返っています。
西村さんは毎日新聞社、NHKが主催する日本音楽コンクールで世に知られるようになります。2023年で92回を迎える国内屈指の音楽コンクールで、作曲だけでなく声楽、ピアノ、バイオリンなどの部門で世界で活躍する音楽家を多数輩出しています。ちなみに西村さんは日本音楽コンクールの委員長でもありました。
西村さんは応募しては落とされるという経験を重ねているのですが、締め切り日ぎりぎりに毎日新聞社の大阪本社に作品を持ち込んでうんぬん、といったことだけがやたら記憶に残っていて、西村さんの訃報に接して書棚を探したらこの『西村朗の今宵もカプリッチョ』と『曲がった家を作るわけ』が出てきたのです。そして「曲がった家」の方にコンクール応募のエピソードがありました。
もちろん、私が毎日新聞社に入社する前の話ですし、入社後もコンクールに直接関わったことはありません。西村さんの応対をした方が社員であったかどうかも定かではありませんが、当時の大阪本社のたたずまいを思い起こしながら、楽しく読み返しました。
西村さんは大阪の市街地で音楽とはほとんど縁のない両親のもと、作曲家を目指し、東京芸術大学に進みます。その大学の仲間とのまさに「青春時代」、けっこうはちゃめちゃで、何度も笑わせてもらいました。
もちろん西村さんのずっと後輩が出てくるのではありますが。
日本音楽コンクール(公式ホームページ)についてはこちらから
西村朗さんについての、間違えて②を先にアップしてしまいました。この一つ前の①を改めてアップしています。スクロールしてこの下にあります