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BLOG校長ブログ

2023.10.27

中国史のキーワード 「塩政」その①

またまた中国史、日本の中世史の本(足利将軍、10月18、19、20日)から中国史に戻ってしまいます。「続けて書けよ」としかられそうです。このブログでは「これまで読んできた本」の紹介が中心ですが、今回は「読み終えてから」がいつになるか自信がない「大著」なので、また、どういうつながりで次々と本を選んでいくのかというあたりも新しいブログテーマとして少し書いてみます。参考にはならないかもしれませんが。

「中国史を学ぶ おすすめ本①」(10月16日)で『中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史』(松下憲一、講談社選書メチエ、2023年)を紹介し、あわせて個人的に最近注目している研究者として『世界史とつなげて学ぶ中国全史』(東洋経済新報社、2019年)などの著書がある岡本隆司さんの名前をあげました。「遊牧民について何かふれていないかな」と思いながらページをめくっていたら、以下の部分に以前読んだ時のアンダーラインが引いてありました。

「宋王朝は、塩の売買に税金をかけていました」
「塩の徴税・専売の制度を「塩政」といいますが、何も宋に始まった話ではありません」

久しぶりに「塩政」という言葉にふれ、懐かしくかつ「読みたい」気持ちが高まりました。

『中国塩政史の研究』(佐伯富、法律文化社、1987年)

そのものずばりという研究書、佐伯富さん(1910年~2006年)という京都大学の先生がこの研究者としては国内では第一人者で、よく引用されています。

佐伯さんの経歴を改めて確認すると、すでに京都大学教授を定年退職されたあとの時期にあたる1980年代の後半ですね、京都のご自宅を訪ねたことがあります。東京の私立大学の研究者が佐伯さんの研究を何やら問題視しているかのような通信社の記事が配信され、お話を伺いに出向きました。

佐伯先生ご自身はその研究者のことはほとんどご存じでなく、まったく気にはなさっていない様子で、とても記事にするような状況ではないことはすぐにわかったのですが、そこで佐伯さんの研究の話を聞きました。

中国の歴史にとって塩は大変重要な役割を果たしているといった内容、私にはほとんど知識のない話で、大学の先生のすばらしい講義を独り占めしたかのような、至福の時間だったことを今でも鮮明に覚えています。

以来、その中国の塩について、塩の徴税・専売の制度である「塩政」はずっと気になっていて、中国の歴史の本を読むたびに佐伯さんの研究書『中国塩政史の研究』が頭のすみをよぎるのでした。

とはいうものの本格的な研究書、つまり論文集です。一般の書籍とは桁が違う高価なもので、たぶん購入しても読み切れないだろうなと正直、見送っていました。ところが岡本さんの著書です。アンダーラインが引いてあったということは2019年時点でもやはり気になったのでしょう。そして今回、ついに手を出しました。ただ、古書です。

さて『中国塩政史の研究』、箱入りです。「塩と中国古代文明」「中世における塩政」「近世における塩政」などと章がたてられ、春秋戦国時代から漢、南北朝、唐、五代、宋、元、明、清などの各時代、王朝の塩政を詳細に調べ上げたもので、本文だけで約800ページ、やはりとても読み切れないでしょう。ただ、「緒論」「結論」だけ読んでも、中国史における塩政の重要さが十分に伝わってきます。(なにやら「あとがき」や「解説」だけ読んで宿題の読書感想文を書くかのようですね)