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BLOG校長ブログ

2023.11.24

新幹線本 こんなものまで ①

「久しぶりの鉄分」などと銘打って、新幹線本から鉄道に関する最近のニュースを絡めていくつかの本を紹介しましたが、アラカルトでもう少し。「こんな本まである」というところを選んではみました。(鉄道関連でいっきに掲載すればよかったのですが、「関ヶ原の戦い」がドラマ放送にあわせて割り込んでしまった形です)

『新幹線と日本の半世紀 1億人の新幹線--文化の視点からその歴史を読む』(近藤正高、交通新聞社新書、2010年)

戦前の弾丸列車計画を東海道新幹線のルーツと位置付けて歴史をたどるところは「正攻法」ではありますが、文化の視点という側面から大阪万博やディスカバージャパンなどのイベント、観光キャンペーンとの関係なとに触れる一方、新幹線騒音の公害訴訟など社会問題にも目配りをしています。

書き込みを見ると読んだのは2011年、どんなところにアンダーラインを引いているか確認してみると
「大正年間にかけて広軌改築計画はたびたび持ち上がったものの、狭軌のままで路線網の拡大をはかる政友会系の政権に交代するたびに否定された。政友会は地方有力者の支持拡大のため、幹線の輸送力強化よりもローカル線建設に力を入れていたからである」

おお、「政治と鉄道」「ゲージ(軌間)問題」がここにもでてきています。

「開業からまだ1年経たないこの時期、新幹線は地盤の固まっていない箇所では徐行しており、200キロで走行できる区間は限られていた」(「ひかり」で東京~新大阪間が4時間かかったのはそのため)
へえー、そうだったんだ、といった感じですが、意地悪く言うと、そんな「危ない」状態で開業してよかったのかと。やっぱり東京オリンピック(1964年)に間に合わせるのが第一だったのでしょうね。

「東海道新幹線の工事費が1キロあたり7億円強で済んだのに対し、上越新幹線は1キロあたり60億円(総工費1兆7000億円)と、石油危機によるインフレを経て2・4倍になった卸売物価を計算に入れても3倍以上となっていた」

正直、読んで強い印象が残ったような記憶はないのですが、いまざっと目次などを確認すると、押さえるべきところはきちんと押さえていますね。

『「夢の超特急」、走る 新幹線を作った男たち』(碇義朗、文春文庫、2007年)

そう、初めての新幹線、東海道新幹線は「夢の超特急」などと呼ばれたんですよね。その新幹線の技術面を担った人物にスポットをあてます。戦争中の軍隊の技術者が貢献したことはよく知られています。

『超高速に挑む 新幹線開発に賭けた男たち。』(碇義朗、文藝春秋、1993年)

2冊並べてみて筆者は同じ、出版元も文藝春秋社、タイトルもなんとなく似ている、いやな予感・・・改めて文庫本を確認したら、この『超高速に挑む』を改題、加筆した、とありました。また、やってしまいましたね。

『新幹線をつくった男 島秀雄物語』(高橋団吉、小学館、2000年)

島秀雄は、『超高速に挑む』でも当然取り上げられている、新幹線を語るうえで、いや国鉄の歴史を語るうえでも欠かせない人物であることは、「鉄ちゃん」なら知っていてあたりまえ、という方です。

国鉄のエンジニアとして蒸気機関車の設計から湘南電車、ビジネス特急こだま、新幹線列車の誕生にかかわり、国鉄を辞めた後は宇宙開発事業団(NASDA)の初代理事長としてロケット開発にも携わりました。