2023.11.25
新幹線本でこんなものまである①では、新幹線の技術開発に携わった人をとりあげた本をいくつか紹介しましたが、新幹線の「技術」あるいは「運転」に関してもいくつかあります。
ここでも「夢の超特急」ですね。タイトルだけみると新幹線の歴史についてのようですが、軌道や架線の構造、安全対策、車両のつくり、列車ダイヤとその運行など、どちらかというと技術面が中心。ちょっとページを折ったところもありましたが、あまり読んだ形跡はないですね。
筆者は新幹線の元運転士。「運転士が見た鉄道の舞台裏」と副題にあるように、車両の特徴などはもちろん紹介されているのですが、運転士として乗車前の準備から始まり、東京駅を出て「どこどこトンネルを抜けると・・・」といった運転席での動きが細かく描かれています。こちらも購入はしたものの、といった感じがします。
理科系本のシリーズ、ブルーバックスの1冊とあって、技術面の解説も一段と精緻。
やや、今気づいたのですが、『新幹線の運転』と同じ筆者、しかもこちらは文庫、いやな予感。確認すると「本作品は書下ろしです」、ほっ。運転士経験からのエピソードは『新幹線の運転』で紹介されているものと共通の部分もありました。
なにやらすごいネーミングの研究会があるかのようような体裁ですが、編集者がいろいろな資料をもとにまとめたのでしょう。帯に「長い旅がもっと楽しくなる本」とあるように、99の謎、つまり99の話題を並べているので、興味のある所を拾い読みすればいい、「文庫本なのでかさばらず旅のお供に」といったねらいですかね。ということで私自身もそうやって購入したのかしら、ちょっと覚えがありません。
新幹線の運転についての本を書いていて思い出したことがあります。新聞社で児童向けの媒体の仕事をしていた時、媒体の特性としてJR東海の広報の方とよくお会いしました。新聞などマスコミ取材の窓口になる部署ですね。まだ若い方だったのですが、あれこれ話をしているときに「わたし、新幹線の運転できるんですよ」と言われてびっくり。
電車の運転士とか車掌さんとかは希望して訓練を受け、その資格をとるというのが一般的です。上記『新幹線の運転』でも新幹線の運転士は「狭き門」で、JR東海の場合は営業(運輸職)部門を希望、駅に勤め、試験を受けて車掌になり、そこで経験を積んで新幹線運転士の試験を受ける資格がつく、合格したら見習いとして乗務し、新幹線電気運転免許を受け取る、とあります。
いろいろ聞いてみましたが、もちろんこの彼が乗客のいる列車を運転するということではなく、運転も実際に体験することが本社勤務に生きる、という会社の考えだったようです。