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BLOG校長ブログ

2023.11.30

新幹線本 こんなものまで ④

新幹線本、最後は実際に東海道新幹線に乗る時に持っていってください、という本です。

『デジタルガイド車窓の旅1 東海道・山陽新幹線 上』(編集協力=種村直樹・宮脇俊三・国鉄新幹線総局、河出書房新社、1982年)
『デジタルガイド車窓の旅2 東海道・山陽新幹線 下』(同、河出文庫、1984年)

単行本と文庫本ですが、同じシリーズ本の上下巻です。上巻を購入してしばらして文庫本になり、下巻購入時は文庫本を手にした、ということでしょう。いやあ、こんな本つくってしまうんだ、というユニークな本です。

中を見ていただければいいのですが著作権もあるので、説明します。見開き2ページのど真ん中に東海道新幹線の路線に見立てた横線がひかれています。横線の上半分は山側(新幹線座席番号の2人掛けD、E席側)、下半分の海側(3人掛けA、B、C席側)の車窓に何が見えるかが紹介されています。工場とか団地は地図記号で、橋でまたぐ川の名前やトンネル部分にはトンネル名が記される、といった具合。

一般的な地図は地形を忠実になぞるので新幹線の路線は曲がります。ここでは新幹線は一直線、周辺も車内から見えるものだけをピックアップした「地図」と言えなくもない。ページには東京駅から出発してからの経過時間が書かています。ここが重要、「デジタル」と称するゆえんでしょう。

つまり東京駅を出て何分後はこのあたりを走っている、その時、車窓からはこういう風景が見えている、というガイドブックになっているのです。時計をにらみながらページをめくっていくと、車窓から見える特徴的な建物・施設などが何であるのかがわかるわけです。トンネルに入った、「これは〇〇トンネルだ」とか「橋を渡った。〇〇川だ」とかがわかるわけです。

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それがどうした、と言われれば、それまで。いやあ、実際にその通りにこの本を使う人がいるとは思えないのですが、いかがでしょう。「えっ、自分はどうかって」、律儀に1ページ目からめくっていった記憶はないけれど、乗るたびに気になっていた建物や施設を随時、チェックする時に参照したことはあるような気もします。

ちなみに下巻は新大阪博多間の山陽新幹線部分ですが、こちらは正直、編集部は悩ましかったと思います。なぜって、山陽新幹線ってトンネルが圧倒的に多く、また走っているところも山間部ばかり、車窓を楽しむ区間ってあまりないですから。

デジタルガイド車窓の旅の1、2となっていますが、このガイドのシリーズは続いたのでしょうか。山陽新幹線以降、東北新幹線なども事情は同じで山間部を走り、トンネルも多く、車窓ガイドが成り立たないのではと心配してしまいます。

それにしても編集協力に種村直樹、宮脇俊三の名前があることに今回、気づきました。これはすごい、このお二人について書き出すともう止まらないので、今後機会があれば。

さてこのデジタルガイドですが、新幹線はスピードアップするので、表記の東京駅からの経過時間も微妙に変わってきます。また、車窓から見える建物もなくなったり、建て替えたりするでしょう。「資料」?として古くなってしまうことは避けられません。

というわけでもないのでしょうが

『新幹線の車窓から 東海道新幹線編』(栗原景、メディアファクトリー、2009年)

こちらもやはり車窓から見える特徴的な建物、施設を写真で紹介しています。1ページに1スポット、やはり探すヒントとして東京駅からの経過時間が表記されています。筆者は東京新大阪間を何往復もして窓越しに写真を撮りだめたそうです。それぞれの施設や建物の見つけやすさを「目撃難易度」として★印の数で示している「お遊び」が面白い。線路から遠くに見える、あるはい小さい施設はそれは確認しにくいですよね。

いい着想だと思ったのは「よく見る看板ベスト5」、そう田んぼや畑の中に立っている大きな看板広告を目にしますよね。ほら、飛行機の名前みたいなある数字が大きく書かれているのとか。筆者はその広告の数を数えてランク付けし、その広告会社に取材しています。「効果はあるのですか」と。

改めて新旧比べると、同じポイントでも東京駅からの経過時間がかなり異なります。「ひかり」から「のぞみ」へのスピードアップです。また、『デジタル』は比較的線路に近い施設が多く、「こぼれ話」的なエピソード、うんちくが豊富。栗原本は遠景や看板などにも力をいれているように感じます。