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BLOG校長ブログ

2023.12.20

さよなら「トロリーバス」 ②

日本で唯一残っていたトロリーバスが1年後になくなるというニュース。「鉄ちゃん」として? こういう著書を持っています。というか、こういう本もあるんですね。

『日本のトロリーバス』(吉川文夫、電気車研究会・発行、1994年)

筆者の吉川さんには鉄道関連の著書がたくさんりますが、この本については「企画者=関西電力株式会社」とあるところがキモ。関西圏に電気を送るため、難工事の末に完成した黒部ダムを造ったのが関西電力、そのダム建設のための資材運搬などを目的にトンネルが掘られ、ダム完成後に観光用の関電トンネル路線として活かされトロリーバスを走らせたわけです。この黒部ダムの建設については映画「黒部の太陽」がよく知られています。

ということで、この本では関電トンネル路線のトロリーバスを中心に、そのメカニズムなどが細かく紹介されており、立山トンネル路線開業前の発行ということもあって

「立山トンネル内を走るトンネルバスはディーゼル車で運行されているが、トンネル内の排気問題や、自然環境保護の意味もあって、平成8年(1996)以降、トロリーバス化されることになった。開通すれば関電トンネルトロリーバスの弟分ができることになる」

はい、そして「兄貴分」が先に電気バスに変わり、「弟分」が残っていたわけですね。

『全国フシギ乗り物ツアー』(二村高史・宮田幸治=著、山海堂、2005年)

変わった鉄道を紹介するマニアックな本です。「立山黒部アルペンルートに唯一生き残ったトロリーバス」という見出しで、この時点ではまだ残っていた2路線が紹介されています。

「「なんだ、この本はバスも取り上げるのか」と言われそうだが、トロリーバスは鉄道事業法に基づいて運行されており、正式な名称は「無軌条電車」。少なくとも法律ではれっきとした鉄道に分類されているのだ」

「さよなら「トロリーバス」①」で引用した新聞記事にもありました。無軌条つまりレールがないということですね。『日本のトロリーバス』では一般的なバスや鉄道との違いについて、構造など細かいところまで触れられていますが、こちらの『フシギ』では

「トロリーバスだが、外観も内装もバスとほぼ同じ。それでも、外観で目につくところといえばナンバープレートがついていないこと。一般道を通ることがないので不要なわけだ」

「鉄でできたレールを走る電車は、架線から受けた電気をレールに流す。しかしゴムタイヤのトロリーバスは、2本ある架線の一方をプラス、他方をマイナスとする」

このくらい知っておけば十分ですかね。

「黒部ダム」の公式ウエブサイトではトロリーバスの歴史がわかりやすくまとめられています。こちらから