04-2934-5292

MENU

BLOG校長ブログ

2024.02.20

ポストモダンでキッチュ 東野高校建築論 ②

「完成時はポストモダン・キッチュとみなされた」と五十嵐太郎さん(東北大学教授)に評された本校ですが、「モダン」の後にくるのが「ポストモダン」。『建築思想図鑑』(学芸出版社、2023年第1版第3刷)には「ポスト・モダニズム」という項目がたてられています。

「モダニズムを乗り越えるため、「小さな物語」を志向した運動の総称」
「モダニズムを乗り越える新しい建築をつくるため、古典様式の引用や折衷、過度な装飾などが用いられた、20世紀後半の建築に見られる傾向」

もちろん、本校の設計にあたったクリストファー・アレグザンダー自身が「このデザインはポストモダンだ」と言ったわけではなく、他の建築家や研究者らがその特徴をとらえてポストモダンの建築と評価したわけです、
例えば、このブログで昨年の創立記念日(7月3日)にあわせて「本校はどう表現されてきたか」を書きました。そこで紹介した本の中にこれがありました。

『ポストモダン建築巡礼』(磯達雄・文、宮沢洋・イラスト、日経アーキテクチュア編、2011年)

この「巡礼=訪問」先に東野高校が選ばれたということは、すなわち本校が「ポストモダン建築」と見られているということでしょう。こんなくだりがありました。

「小高い丘の上に位置するここ(旧食堂棟)からは、キャンパス全体が見渡せる。普通の学校なら、屏風のような校舎が視界を遮っているところだが、ここでは小さな家が立ち並ぶ集落のような光景が広がっている」

五十嵐さんが言う「群としての建築の配置構成が絶妙。地形とも絡み、身体で楽しめる空間」とも重なります。

これとは別に建築史家、国際日本文化研究センター所長の井上章一さんの 論考「しろうととしろうととの出会い」(「SPACE  MODULATOR  NO.68」(日本板硝子、1986年)収録)も紹介しました。井上さんは開校直後に本校を見学しています。

「(東野高校の)建物の意匠は、歴史のなかで我々の脳裏にやきつけられているさまざまな形をくみあわせてつくられている。江戸の倉、なまこ壁、屋敷塀と門、いかにも田舎風の反り橋、イタリアの中世都市、教会、列柱のアーケード、等々である」

井上さんは論考のなかでモダンとかポストモダンとかの用語は使っていないのですが、どうでしょう、先の『建築思想図鑑』の「ポスト・モダニズム」の説明、「古典様式の引用や折衷、過度な装飾などが用いられた、20世紀後半の建築に見られる傾向」の好例とも言えてしまいそうです。


東野高校キャンパスを空撮。「小さな家が立ち並ぶ集落のような光景が広がっている」「群としての建築の配置構成が絶妙」と評されたのですが、いかがでしょう。

「地形とも絡み、身体で楽しめる空間」と五十嵐さん、この光景でしょうか。「なまこ壁、反り橋、列柱のアーケード」と井上さん。