2024.02.29
本を読んでいて、気になるところのページの隅っこを折るのを dog-ear(犬の耳)と言うのだそうです。私自身も同じようにするので、外国でもこのような習慣があると知って驚きでした。なんで犬の耳かって? 想像してみてください。ページの隅っこを折ると、ページ全体と折ったところを合わせてその形が犬の耳のように見えるからだそう、なるほど。
この本で教わりました。翻訳家、エッセイストとして知られる青山さん、新聞の書籍広告でタイトルに魅かれて購入しました。もともとは1997年に単行本で刊行されこのほど文庫化されたとのこと。読書や本にまつわるエッセイをまとめたものです。
「犬の耳」についてはこのように書かれています。
「小説家の佐藤正午が、小説を読んでいて気に入った一行や気にかかる文句にであうとページの隅っこをつい折ってしまう、と書いていた。(略)じつは、ぼくにもその癖がある」
「ページの隅っこを折るのを、英語ではたしか、「犬の耳」といったなあ、とおもいだして、あらためて辞書をひいてみた。あったあった、dog-earあるいは dog’s-ear。名詞としてだけではなく、動詞としてもつかわれるようだ。そして、dog-eared とか dog’s-earedというかたちで、形容詞にもなる。こんなことばもできているくらいなのだから、ページの隅っこを折るのは、まあ、わりあい世界中でみんながやっていることなんだろう」
英語にあったはず、と思い出すところがさすがに翻訳家ということですね。ただ、読者が意図的に折ったかどうかではなく、自然に折れてしまった状態も含めているようです。
こちらは共感する人も多いのでは。
「受験勉強のときには参考書に赤鉛筆でたくさん線を引いた。これは覚えなくては、これも覚えなくては、とつぎつぎ線を引いていくうちにページはまっかっかになり、ほんとうに覚えなくてはいけないものはどれなのかがわからなくなってしまった」
あるある、ですよね。今どきは赤鉛筆より蛍光ペンでしょうが。青山さんは続けます。
「参考書にはこんなふうにどんどん線を引いていたぼくだが、しかし、参考書でない本には線を引くということがなかなかできなかった」
として、自分でその理由を考察しています。
本を読んでいて気になるところに線を引く、あるいは付箋を貼るといったことは、私自身日常のことではあります。とはいうものの、資料的に本を読む場合で、小説などではまずそのような作業はしません。