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BLOG校長ブログ

2024.04.12

「ご当地ソング」考 ⑤ ーー駅名もあり

この項の4回目ではご当地ソングに実在する店名も入れたいと書き、本校の通学圏内にご当地ソングがあればいいのにと独り言を言いました。通学圏内に歌の聖地はないかなとあれこれ考えていたら、ありました、思い出しました、それもユーミン、荒井由実さんです。

3枚目のアルバム『COBALT HOUR』収録の『雨のステイション』、ざっくりいうと失恋の歌ですが、具体的なステイション=駅名は出てきません。なので、私自身、ずっと意識したことはなかったのですが、ある本で、舞台となった駅が実在することを知り、その駅も知っていたので歌の雰囲気と駅のたたずまいのギャップに愕然としました。

『フォークソングの東京 聖地巡礼 1968ー1985』(金澤信幸、講談社、2018年)

「初期ユーミンが描く東京の西郊」という1章が設けられていて

「松任谷由実は、東京を歌うことの多いミュージシャンの一人だ」

と紹介され『雨のステイション』もとりあげられています。この本では松任谷由実で統一されていますが、『雨のステイション』の時は荒井由実をです。ユーミンの最初の著作『ルージュの伝言』(1984年)で自身が創作のきっかけなどを語っているとのこと。この本も実家にあることはわかっているのですが(記録では2013年に角川文庫版購入)、内容までは記憶になく、この『フォークソングの東京』で確認した、ということにしておきます。

同書によると、駅前には本人直筆の歌詞が刻まれた歌碑があり、駅の発車メロディもこの曲で、「現在でもつかわれている」とありますが、本の発行は2018年、今はどうでしょうか。

あえて駅名は書きませんが本校の通学圏内であることはまちがいないところ。興味ある方、すぐ調べられますよ、ともったいぶっておきます、その方が意外性、驚きがあると思います。この駅利用の在校生がこのブログでユーミンとの縁を知ってくれたらうれしいですね。

ユーミンをあげたらこの人も、といえば中島ゆみきさん。同じころにデビューし、どちらも今もバリバリの現役というところがすごい。女性芯がソングライターとして恋歌を作らせたら双璧でしょう。中島さんの方が失恋の歌が多いかな。中島さんの歌詞、日本語の言葉使いは本当に感心するのですが、具体的な地名や店の名などがでてくる曲がちょっと思いつかない。

と迷っていたら、いやいや、すごい曲がありました。誰でも知っている牛丼チェーンがずばり実名で出てきます(タイトルは『狼になりたい』)。歌い出しのところで出てきて、多くの人がすぐに店内の様子を思い浮かべるでしょう。その後に繰り広げられる人間ドラマがいよいよくっきりと迫ってきます。実に効果的です。

駅名だしたら路線名も

「ご当地ソング」の範疇に駅名まで含めてしまいましたが、「鉄ちゃん(鉄道愛好家)」としてはさらに拡大解釈したい、そう、鉄道名、路線名が出てくる歌です。「それもご当地ソングか」とのご批判は甘んじて受けます。書かずにはいられません。

前回紹介したユーミンの『天気雨』(アルバム「14番目の月」収録)、サーファーの「貴方」に会うために茅ケ崎まででかけるのですが、「相模線にゆられて」いくのです。さて、相模線、知ってますか。

神奈川県内の茅ケ崎駅と橋本駅(相模原市)を結ぶJR線です。ユーミンの歌の当時は国鉄ですが。八王子駅から横浜線で橋本駅で乗り換えられるので、八王子に住んでいたユーミンが茅ケ崎に鉄道で出かけるとしたら八王子駅 ⇒ 横浜線 ⇒ 橋本乗換 ⇒ 相模線 ⇒ 茅ケ崎とたどれます、もちろん歌の世界の話で、ユーミンが実際にこのルートをとったかはわかりませんが、少なくとも、土地鑑というか「鉄道鑑」はあったということでしょう。

この相模線、改めて調べたら全線単線で全線電化されたのは1991年、ということはユーミンが歌ったときはディーゼルカーが走っていた、いよいよおしゃれなサーファーの世界とのギャップが強まります(サーファーをおしゃれと決めつけることがそもそもいけないのかもしれませんし、相模線、ディーゼルカーに失礼ではあります)

まあ一応、昔から「鉄ちゃん」ではあったので相模線の存在は知っていました。ただ、この歌を聴いたとき、「あれ、ユーミンは車で湘南通っていたんじゃないの、鉄道か」とひとりごとの突っ込みをいれていました。何しろ「中央フリーウエイ」(中央自動車道のこと)で彼に送ってもらっていた人ですから。

横浜線が間に入るとはいえ、八王子から鉄道で南に向かうユーミン、さて、その八王子、横浜線とは正反対の方向に向かう鉄道路線がありますよね、そう八高線です。全線単線、電化も遅かったというあたりは相模線とよく似ている(というか今も高麗川以北はディーゼルカーですね)。東京在住、関東在住の人でもあまり知られていない路線であることも似ています。

東野高校のスクールバスは八高線の拝島駅、箱根ヶ崎駅、東飯能駅と学校の間を運行しています。八高線は本校と縁の深い鉄道路線です。

これも前回書きました、「本校所在地近辺のご当地ソングないかしら」と。ユーミンに八高線に乗って歌を作って欲しかった・・・

余談ではありますが

その相模線ですが、自分の鉄道乗車記録(電子版で保存しています)でチェックすると、全線、乗車したことにはなっています。車窓も、河岸段丘の上を長く走ることを記憶しています。ただ残念ながら乗車日時が書かれていないので、「記録」としてどうなのか。
どこかの駅なり施設なりに行く目的があったとようには思えないので、「乗ること」が目的だった気配が濃厚です。ユーミンの『天気雨』に無意識に誘われたのかもしれません。恐るべし、ご当地ソング。