2024.06.28
広島県の瀬戸内海にある大久野島を訪れました。個人史をお許しください。広島県福山市で新聞記者生活をスタートしたのですが、管内の竹原市にある大久野島でかつて毒ガスが製造されていたという漠然とした知識は得ていたものの深く知る機会はありませんでした。ようやく訪れることができました。
休日だったこともあり島に渡る船を待つ長蛇の列、大多数が家族連れで、戦史に興味を持つ人がこんなにいるのかと驚かされたのですが、早とちり。大久野島は瀬戸内海国立公園内の国民休暇村となっていてキャンプ場や宿泊施設があり、また野生のウサギがたくさん生息している「ウサギの島」として知られているのだそう。竹原市観光協会のウエブサイトによると500~600羽生息しているそうです。
もちろん自然とのふれあいもいい、ウサギ目当ての人たちの何割かでも毒ガスの島だったという歴史を知ってもらえばそれはいいことだ、などと考えながら島を歩きました(島内は自家用車は走れません)。
島には「毒ガス資料館」という施設があり、毒ガス工場で使われていた防毒マスクや防護服などが展示され働いていた人たちの資料が掲示されていました。「地図から消された」ことを示す、島が描かれていない地図と本来の地図が並べて展示されてもいました。
「毒ガス資料館」の館内は撮影ができなかったので、いただいたパンフレットを。作業時に来ていた防護服の写真がショッキングです。
島内には、製造工程に不可欠な電力を得るために発電所もつくられました。本土から電気線を引くわけにはいかなかったわけです。廃墟としか言いようのない建物が残っていました。