2023.04.18
東野高校の図書室では本の貸し出しはもちろん、新聞の閲覧コーナーや生徒の自習スペースも用意されています。また新聞の記事データベースも利用でき、調べ学習などでも活用されています。
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2023.04.17
1学期の授業が本格的に始まりました。2年生の世界史の授業がこの時代にさしかかっている、ということで、最近読んだ中でのお薦め本の紹介です。
トルコの遺跡で一生涯をかけて発掘にあたり、国際的にも高い評価の研究成果をあげている日本人学者がいることを、恥ずかしながら知らなかったし、ヒッタイトをテーマにした漫画、いよいよ知りませんでした。タイトル通り「ヒッタイトに魅せられた」2人のやりとりに、ぐいぐいと引き込まれます。
さてヒッタイト、辞書では「ヒッタイトは民族名で紀元前1750年ごろ、トルコ・アナトリア地方で鉄と重戦車を駆使してエジプトと古代中近東世界を二分するほどの帝国を築いたが、前1200年ごろ滅びた」などと説明されています(手元にある「角川世界史辞典」によりましたが、なんとこの項目の筆者はこの大村幸弘先生でした)。
突然のように興って、当時最先端技術でもあった「鉄」をあやつって大帝国となりながら、あっという間に滅びてしまう。その原因もよくわからない、そんな「謎」の民族、国家に「魅せられた」2人のやりとりがおもしろくないはずがありません。
大村先生は研究者を志し、トルコ・アナトリアで発掘を始めるときに、恩師から「文化編年を目指さなければならない」とアドバイスを受けます。
遺跡の発掘というと、研究者の自分の専門とする分野、興味関心の強い時代に関わるところだけを発掘の対象とすることが多いなかで、ひとつの遺跡を、上から下まで丹念に掘り下げて歴史の積み重なりを正しくとらえ、当時の世界を復元し、歴史の流れを正しく把握することが大切だと教えられた、と振り返ります。途方もなく時間のかかる仕事、考古学者が一生をかけて取り組む価値のある大仕事なんだとも。
大村さんが発掘を始めたころ、他に日本人研究者はおらず、トルコでの発掘調査の中心だったドイツの研究者が「日本人が(発掘)やるんだって? まあ、2,3年続けばいいほうだ」との陰口を叩いているのをたまたま聞いて、「死ぬまでやってやるって、心底そう思いましたよ」。
この決意があったからでしょう、発掘調査を認めてもらうためのトルコ政府や地方自治体との交渉、ヨーロッパを中心にたくさんの国の研究者の真剣勝負の場である学会での発表、さらには実際に発掘現場で作業をしてくれるトルコの人たちとの日常でのやりとり、後進の育成などが語られていきます。
このような大村さんの仕事ぶりは、将来考古学者になりたいと考えている若いみなさんにとって大いに参考になるし、励みにもなります。また、考古学、歴史学などにとどまらず、海外で働くということを考えていくうえでも、示唆にとんでいます。
ヒッタイトが「鉄」によって大帝国となる、突然のように滅びる、そこについては大村さんの長年の研究に裏打ちされた説明は説得力があります。「アナトリアの高原は夏から秋にかけて一定方向から強い風が吹き続ける。鉄を生産するには高温が欠かせないが、フイゴだけでは不十分、この強い風を利用した可能性が高い」と推測します。
そのうえで、青銅器から鉄器への移行とは、人類が生んだ最大級のイノベーションだったといっても過言ではない。鉄はいまの核兵器に匹敵するイノベーションだったはず。核兵器を持ったということで、エジプトがヒッタイトを対等な大国として扱わざるをえなくなった」と、現代になぞらえて説明しています。
「アナトリアのことを世界史のへそと表現します。東西から文明が次々に去来し、それが世界史としてアナトリアの大地に積み重なっている。言語や文化の異なる多様な集団を包摂しなければ統一国家がつくれない場所だった」
現代のトルコや中近東の国々・地域の課題でもありますね。
2023.04.15
入学式式辞にいつまでもこだわっているようで恐縮です。
アメリカメジャーリーグで大谷翔平選手の連日の活躍が伝えられています。そんなニュースの中に、大谷選手が「ピッチクロック対策をしている」というものがありました。
式辞で紹介したのは投球間隔の制限が走者なしの場合は15秒以内というものでしたが、新ルールでは走者ありの場合は20秒以内、打者が準備を整える前に投手がセットポジションに入るのも違反、などいろいろあり、大谷選手は誤解されそうな投球フォームを修正したようです。
この新ルールがどのくらい広がっていくのか、日本のプロ野球にはすぐに導入されないとしても、ワールドベースボールクラシック(WBC)で採用されれば日本代表の選手も対応を迫られる、などの見方もあり、また反対意見も見受けられます。
式辞の準備の時は思い浮かばなかったのですが後日、スポーツノンフィクションの名作を思い出しました。山際淳司「江夏の21球」です。プロ野球日本シリーズの名勝負の中でも特筆される試合のハイライトを、それまでにない切り口で描いた、その後のスポーツノンフィクションのスタイルを変えた作品と評価されています。
この回の攻防を、江夏投手はもちろん近鉄の打者などのインタビューで構成した作品が「江夏の21球」。単に江夏投手の配球を追うだけではないドラマが描かれていますが、書くとこれから読んでみようという方の意欲をそいでしまうので、やめておきます。
結果的に江夏投手が胴上げ投手となった9回裏に江夏投手が投げた球数が21球、それがタイトルの所以で、その9回裏に費やした時間は約26分、と書かれています。投球間隔時間は敢えて計算しません。
もちろんいまの野球とは異なる要素がたくさんある時代ではあります。「とはいえ」です。山際は「江夏の一球一球をめぐって広島、近鉄両ベンチ、そしてグラウンドに立つ選手のあいだをさまざまな思惑が交錯した。野球とは、あるいはこの様々な思いが沸き立ち浮遊して交錯するところに成立するゲームであるのかもしれない」と書いています。
ナンバー誌(Sports Graphic Number、スポーツ・グラフィック・ナンバー)の1号(1980年4月20日号)に掲載、その後、山際の作品集「スローカーブを、もう一球」に収録。私自身はナンバー誌で読んだかどうかは記憶がないのですが「スローカーブ」の方は、手元にある単行本(角川書店)の奥付を見ると「昭和五十七年(1982年)五月十日 四版発行」となっています。とにかく新米記者のころに読んでとても強い印象が残ったことは鮮明に覚えています。「こういうのもありか」と。
「新しい雑誌なんだから新しいスポーツライターを育てて下さい。スポーツノンフィクションという、まだまだ未開拓のジャンルに切り込んでみようとという若手の文筆家は必ずいる」というアドバイスをもらい、スポーツとはあえて無縁のライターだった山際淳司を起用した。
江夏投手が9回裏に投げた21球について、ビデオを見ながら1球ずつ「なぜこの球は内角カーブのストライクなんですか」「捕手のサインに一度首を振った後、ストレートを投げたのはどうしてですか」……と、素人風の質問を続けてみよう、ということにした。その成果が「江夏の21球」である。
ネット販売で検索すると「江夏の21球」のタイトルで2017年、角川新書から出されているようです。こちらの方が手には入りやすいでしょう。
2023.04.14
朝日新聞の14日付朝刊「天声人語」、各地の大学入学式での学長の式辞のいくつかが紹介されています。
広島大学の学長はタイムパフォーマンス時代に対する懸念を示したそうです。すぐに大学ホームページで読ませていただきました。
越智光夫学長の式辞全文が掲載されています。こちらから
私のつたない式辞と比べるつもりは毛頭ないですが、「タイパ」の流行を心配する方がいらっしゃることは心強いです。
2023.04.13
東京大学などが全国の小中高生に学習状況の変化などを尋ねた調査結果の紹介記事で(12日の毎日新聞朝刊)、「勉強時間の長さは、成績との相関が弱かった。やみくもに時間をかけるより、勉強法を身につける方が成績向上の早道と言えそうだ」とまとめられていました。
長く時間をかければ必ずしも成績があがるものではない、とも読めるので、「あれれ」とちょっと困惑してしまいました。というのも、10日の入学式式辞で次のような話をさせていただいたからです。
若い人たちの間で「タイムパフォーマンス(タイパ)」という考え方が広がっている、「タイパがいい」といった使い方で、短い時間で効率よく成果を得る、結果を出すことを意味する。しかし私は高校での日々の学習や受験勉強、部活の練習には「タイパがいい」方法はない、遠回りを心配せずに、じっくりと時間をかけていいと考えている、と。
もちろん短い時間で効率よく学習できれば、同じ時間内で多くの教科・科目の学習ができるので、それに越したことはないでしょう。ただ、まずはじっくりと時間をかけて学習し、その過程、積み重ねからより効率のいい学習方法に気づき、身につけていくということでしょうか。
入学式の様子については学校の「新着ニュース」で詳しくお伝えしています。こちらをどうぞ
参考にした本
「映画を早送りで観る人たち」(光文社新書)
「タイパ」を広く知らしめる役割を果たした本の一つでしょう。「2時間の映画は2時間かけて観てもらう想定でシナリオが描かれています……」というプロ脚本家の嘆きを紹介しながらも、タイパ重視の若者たちの声を丹念に集め、「芸術」は鑑賞するが「娯楽」は消費する、情報収集に近い、タイパを重視する若者たちは「観たい」のではなく「知りたい」のだ、ととらえている点は「なるほど」。
2023.04.12
新入生の入学式は10日、校外の所沢ミューズでの開催のため、入学式に続いて同会場で1年生だけの1学期始業式も行いました。一方で、これに先立って新2・3年生の始業式は7日(金)、本校総合(人工芝)グラウンドで行いました。
11日(火)に1年生が登校して全学年が揃い、対面式があり、1学期の本格スタートとなりました。
入学式のようすは学校ホームページに「新着ニュース」でご紹介しています。こちらをどうぞ
対面式のようすも同じく「新着ニュース」で紹介しています。こちらをどうぞ
申し遅れましたが、この4月、校長に就任した小野田正利です。前校長の北村陽子先生からこのブログを引き継ぎます。学校での行事や生徒の様子などをご紹介していきます。
2回にわけて行った始業式で生徒たちに話したことを、簡単に紹介させていただきます。
校長としてみなさんに初めて話をするので、自己紹介を兼ね、前職の新聞記者としてどんな仕事をしていたかを少し知ってもらうために、みなさんが関心をもつであろうスマートフォンの話をします。
アイフォンが国内で発売されるのが2008年、その前年にお会いしたある工学博士は、すでにアメリカで発売になっているアイフォンを取り寄せて持っていて、その特徴、最大の利点をずばりひこことで明快に説明してくれたことを今でも鮮明に覚えています。「マニュアル(取り扱い説明書)がなくても使えるでしょ。5歳児でもつかえるよね」と。
さらに「一つしかないボタンを押せばリセットで元に戻るので、そこからやり直せばいいというシンプルなつくりがいい」とも話されました。
マニュアルに頼らなくても使える道具・製品でなくてなならないという考え方は、その後どんどん広がっていきます。実際みなさんも、マニュアルなしでいろいろな道具を使いこなしているのではないですか。マニュアル通りという生き方はどうでしょう、「まずはやってみて違うかなと思ったらリセットして元に戻ってやり直す」というのも大事ではないでしょうか、スマートフォンを使う時、そんなことを思い出してみてください。
1年生のみんさんにはこの後すぐ、1人1台iPadを持ってもらい、教室だけでなく家庭学習や学校と家庭との連絡などに使ってもらいます。
そのiPadが日本で発売されたのは2010年、その少し前にアイフォンが国内で発売されスマートフォン、タブレットが急速に普及していきます。みなさんが生まれ、物心つくころです。
それまでの携帯電話はボタンを押して使いました。これと比べてアイフォンやその後にどんどん出てくるスマートフォン、あるいはiPadなどのタブレット端末は、ボタンでなく画面をタッチして操作します。みなさんが生まれたころに、画面タッチへの大きな転換があった、といってもいいのでしょうが、おそらくみなさんもこれから、IT端末の次の大きな転換に遭遇すると思います。ボタンでもタッチでもなく、例えば音声入力が主流になるかもしれませんね。
ただIT端末がどうかわろうが、その先には、はてしのないインターネットという世界が広がっています。そこには魅力的な情報がたくさんあるわけですが、あやしい、あぶない、まちがった情報もたくさんあります。どんなに端末・道具が改良されていっても、大事なのは、そのあふれかえる情報を見分ける力です。
そして何よりも重要なのは、インターネットという見えない空間を通じてではなく、あなたとわたし、生きている人と人との関係をどうつくりあげていくか、集団の中でどう生きていくかということです。学校に通うということは、それを身につけることです。それは忘れないようにしましょう。
自己紹介です
2014年東野高校に入職、法人・事務で仕事をしてきました。それまでは毎日新聞社で新聞記者をし、新聞・活字ばなれがすすむなか、若い人たちにどう活字文化に向き合ってもらうかを考え続けてきました。インターネットの普及に新聞社としてどうかかわるかといった部署でも長く仕事をしました。
子ども二人は独立し妻と二人暮らし。プライベートの過ごし方は読書(仕事がら必要な本に加えて歴史・時代小説、推理小説、ノンフィクションなどけっこうなんでも)、音楽(クラシックからロック、ニューミュージックまでこれまたなんでも)、旅行(乗り物大好き、行先は神社仏閣、博物館・美術館、産業遺跡、温泉など)
2022.03.08
卒業式の花を飾りました。ガーベラの花のように次を見据えましょう。
今日からは、学年末考査です。さあ、次へ。
2022.03.06
35期生が立派に巣立っていきました。感謝しかありません。
2022.03.03
図書委員会誌の表紙 表紙もいいね。
今年度の図書委員会誌が発行されました。
先生方お薦め本も紹介されています。お薦めに導かれ読んでみたい本がたくさん出現!
本を読み考え心を整えなければと思う今日この頃です。
2022.02.28
昨日、暖かさに誘われて、近くの神社まで出かけました。
青空に映えます。