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  • 2023.07.27

    ミュージシャンから派生してーーR16へのこだわり ①

    ミュージシャンの細野晴臣さん、大瀧詠一さん、このお二人の住まい兼音楽スタジオは本校のすぐそばを通る国道16号線で結ばれていたことになり、お二人は何度もこの道路を走ったのでしょう。どちらの地域も本校スクールバスの運行範囲内で、国道16号線はスクールバスが毎日走っています(ただ細野さんが自宅で録音した「HOSONO HOUSE」が発売された1973年には本校はまだ開校していないのですが)。

    『国道16号線 日本を創った道』(柳瀬博一、新潮社、2020年)

    『国道16号線 日本を創った道』筆者の柳瀬さんはこの道路を「日本最強の郊外道路」であり「日本の文明や文化の誕生に重要な役割を果たしてきた」と言います。「そんな大げさな」、ではなく、古代から近現代までこの道(もちろん昔は国道ではないです)沿いに人が集まり行き交い、重要な商品流通路となり、軍隊の施設が集中したことなどが語られます。

    もちろん細野さん、大瀧さんのことも語られています。さらに、本校の通学圏からはちょっと離れてしまうのですが、この本では16号線から巣立った日本を代表するミュージシャンとして矢沢永吉さん、ユーミン・松任谷由実さんかとりあげられています。

    矢沢さんは1980年のアルバム「KAVACH」の中の1曲「レイニー・・ウエイ」で16号線をとりあげているそうですが、歌詞に登場するのは本牧と横須賀、ちょっと縁遠い? かも。

    ユーミンは出身が八王子なのはよく知られていて同市から本校に通う生徒もいますが、2006年のアルバム「A GIRL IN SUMMER」に16号線がタイトルに入った「哀しみのルート16」が収められていることが紹介されています。

    このアルバムは持っているかどうか自信はないのですが、調べてみるとベストアルバム「日本の恋と、ユーミンと。」に収録されているとのことなので、そちらで聴いているのはまちがいない。この本で歌詞の一部が引用されていますが、それを読んだら、メロディがすぐ浮かんできました。

    ただ、歌詞に「ルート16」とは出てくるものの、具体的な地名はでてきません。ということだからでもないのでしょうが、ルート16というのがこの国道16号線とは、この本を読むまでほとんど意識したことがありませんでした。すいません。

    まあ、中央自動車道(中央高速)を「中央フリーウエイ」にしてしまう人なのだがら、国道16号線をそのまま使わないでしょう、ルート16とし、さらに「Route16」と英語表記にしているところがいかにもユーミンですね(歌詞カードでのことなので歌ってしまえば同じですが)。聴く人に歌の舞台を自由に想像させることもねらっているのかもしれません。抽象的な歌詞ならば外国が舞台であってもかまわないわけです。

    学生時代、ユーミン初期の作品はリアルタイムで聴いていましたが、細野さんはベーシストなどとしてかなり重要な役割を果たしています。

    なお、この本は新潮文庫の最新刊でも発売されています。

    「Route16」ならぬ「Route66」

    そういえばで思い出しましたが、「Route66」というジャズのスタンダート曲があります。こちらはアメリカの国道。ユーミンはこの曲を意識したかな。

    歌の内容のトーンはだいぶ違いますが。「Route66」の方は「Get your kicks Route66」と繰り返し出てきます。ルート66を楽しもうぜ、ドライブを楽しもうぜ、といったところ。ユーミンの「Route16」はタイトルにあるように「哀しみ」です。失恋の歌かな。

    アメリカの「Route66」については、こんな本があります。

    『ルート66をゆく―――アメリカの「保守」を訪ねて』(松尾理也、新潮新書、2006年)

    筆者は産経新聞の記者、アメリカのほぼ中央部を横切るルート66(Route66)をめぐる優れたルポルタージュです。このルート66沿いの州、町はアメリカの中でも比較的保守層の多い、共和党の強い地域でトランプ大統領を生む原動力になったところでもあります。この本が出たころはもちろんトランプ大統領など誰も想像していなかったのですが。

  • 2023.07.26

    本校通学圏内から生まれた名曲 その2

    ミュージシャンの細野晴臣さんのソロアルバム「HOSONO HOUSE」(1973年)が録音されたのが狭山市にあった元米兵向け住宅だったわけですが、米兵向け住宅とミュージシャンとの関連で有名なのは大瀧詠一さんで、やはり「はっぴいえんど」のメンバーです。同じ米軍基地でも、こちらは横田基地周辺の米軍ハウスを自宅兼レコーディングスタジオにしていたということは私も学生時代の音楽雑誌で知っていました。

    『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』(岩田由記夫、ウェイツ、2009年)

    音楽ライターのインタビューを交えた交遊録的な本ですが、その中では大瀧さんについて「福生のご隠居さんが業界及びファンたちの共通呼称というか、ニックネームであり、かつ自称でもある」と紹介されています。1948年生まれの大瀧さんはこの本の出版時点でも還暦くらい、「ご隠居」は失礼でしょうが、人気ミュージシャンが都心から離れたところに「あえて住んでいる」ということもあったのでしょう(住んでいる方、ごめんなさい)

    『東京23区外さんぽ』(泉麻人、平凡社、2018年)

    筆者の泉麻人さんは私とほぼ同世代で、東京で生まれ育った地域が近いこともあって親近感を持ち、かなりの著作を手に取ってきています。東京関連の本をたくさん出していますが、同書は「23区外」の市町村の「散歩エッセー」(はしがきより)で、本校通学範囲内の武蔵村山市、福生市、羽村市、青梅市などが出てきます。

    大瀧さんに関して何か所か出てきますが、スタジオが「福生45」と名付けられていたが「ぎりぎりのところで瑞穂町の領域」、瑞穂町図書館には地域資料の一つとして「大瀧詠一さんコーナー」があり大瀧さんのCDや関連書物が所蔵されているそうです。大瀧さんのお墓は羽村市にあるそうです。

    大瀧さんは2013年末に亡くなられていますが、「さらばシベリア鉄道」(太田裕美さん)「風立ちぬ」(松田聖子さん)「夢で逢えたら」(吉田美奈子さん)などの作品は一度は耳にしたことがあると思います。

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    大瀧さんの代表作がこの「A LONG VACATION」(1981年)。ファンの間では「ロンバケ」の愛称で呼ばれるそうです。「君は天然色」「カナリア諸島にて」など、後にCMソングとして使われた曲も多く、「さらばシベリア鉄道」は本人が歌っています。ミュージックテープ(カセットテープ)で購入、近年、CDで買い直しました。しかし、最初、何でカセットテープで買ったのか・・・

    「瑞穂町図書館」の公式ホームページはこちらから

    『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』(村上春樹・吉本由美・都築響一、文藝春秋、2004年)

    村上春樹さんは説明不要ですね、エッセイスト・スタイリストの吉本由美さん、「えっこんな写真撮るの」といつも驚かせてくれる都築響一さんの3人のグループ名が「東京するめクラブ」。名古屋、熱海、ハワイ、江の島、サハリンなど、それぞれの興味の向くまま歩いて語る旅行記、この顔ぶれからして、おもしろくないわけがない。

    なんでこの本をここでとりあげたか。「地球のはぐれ方」というタイトル、「地球の歩き方」を意識してますよね、パロディと言っていいかも。そのあたりははっきりと書かれていませんが、「この本はガイドブックではない」と文中で繰り返されているので。

    と、えらそうに書いていますが、実は「地球の歩き方 埼玉」を買った後、書棚でこの「はぐれ方」が目に入り、「これってパロディ?」と気づいた次第です。

  • 2023.07.25

    本校通学圏内から生まれた名曲 その1

    今年の2学年の修学旅行はカナダ、北海道、沖縄の希望別3方面。事前準備としてたくさんの資料にあたって欲しいと思いますが、多くの人がまず手にとるのが旅行ガイドブックでしょう。たくさん発行されているガイドブックの中でよく知られたものの一つに「地球の歩き方」シリーズがありますよね。

    『地球の歩き方 埼玉』(2023~24)

    1979年の創刊以来、世界各地を紹介するガイドブックで100タイトル以上販売されているそうです。修学旅行先である「カナダ西部」はもちろん国内目的地の「北海道」「沖縄」もあります。そのシリーズで「埼玉」が先ごろ発刊され、書店で平積みされていたのでつい衝動買いしてしまいました。「埼玉」は初めてのことのようです。(「日本」というのも出ていてこれも話題になりました)

    本校所在の入間市に関しては、本校に隣接する「入間市博物館ALIT」や「旧黒須銀行」「ジョンソンタウン」などが紹介されています。

    驚いたのは「1973年の狭山市アメリカ村」というコラム。ミュージシャンの細野晴臣さんが1973年に発売したソロアルバム「HOSONO HOUSE」が狭山市の自宅でレコーディングされた、というエピソードでした。

    狭山市から入間市にかけて駐留米軍のジョンソン基地があり、入間市の「ジョンソンタウン」もそこからきているのですが、基地周辺の米兵向け、家族向けの住宅が駐留の撤退につれて空き家になっていき、そこに移り住む若者が増えていった。稲荷山公園周辺は「狭山アメリカ村」と呼ばれるようになり、細野さんも移り住み、その自宅で録音をしたのだそうです。

    後に発売されたCD版の解説には以下のように書かれています。

    「国道と緑深い丘の間にゆったりとした間隔で整然と並ぶ木造平屋建て壁には白いペンキが塗られ、その一角の光景は日本というよりアメリカの郊外のようだった。(中略)間取りは20畳ほどのリビング・ルームに6畳~12畳のベッド・ルームが2~3室、そしてキッチン、バス、トイレというのが標準だったように思う」

    「レコーディングにあたっては、リビング・ルームに16トラックのミキシング・コンソールが置かれ、演奏には8畳ほどのベッド・ルームが使われた。平均的な日本の家屋より広いとはいえ、機材や楽器やコードの束で、家の中は足の踏み場もないような状態だった」

    細野さんは、欧米の音楽、つまり主に英語の歌詞の音楽だったロックミュージックを日本にどう取り入れるか、日本語でロックになるのかと試行錯誤されていた時代に一つの答えを出した伝説的なバンド「はっぴいえんど」のメンバーで、その後、先ごろ相次いで亡くなった高橋幸宏さん、坂本龍一さんとYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)を結成し、世界に知られるようになります。

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    細野さんの自宅で録音された「HOSONO HOUSE」(CD)
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    「はっぴいえんど」解散後に発売されたいわゆる企画・編集版のCD
  • 2023.07.22

    学級通信 彩々--1学期を終えて

    20日に1学期終業式があり今日21日から夏休みに入りました。終業式ではこの長い休みはきちんと計画をたて有意義に使って欲しいと話しました。早速合宿に向かう部活動もあり24日からは夏期講習も始まります。
    この区切りにあたって各学年、各クラスから生徒、保護者のみなさんあての「通信」が発行されています。内容についてはもちろん教員一人ひとりが工夫して書いているのですが、そのタイトルにも教員の願い、希望が込められています。他クラスの通信を見ていただくのは難しいですが、タイトルだけでも「思い」は伝わると考えますので、いくつかご紹介します。

    シンプルに

    まずシンプルに「〇〇クラス通信」「学級通信」というタイトルのものがあります。もちろん見出し、本文の「自分を、鍛える夏」(1-A6)「高校最後の夏、君たちはどう過ごすか」(3学年)に教員のメッセージが込められています。

    「2回目を頑張ることができなければ、、、」という見出しが目を引きました(1-S2)。担任自身が恩師から言われた「一つのことを3回やる時には2回目でベストを出すべきだ」ということばを引き、3学期頑張ればいいではなく、2学期こそ一番頑張ろう、と呼びかけています。なるほど。

    「漢字熟語」

    「漢字熟語」では「凡事徹底」(2-A8)「一期一会」(1-S1)「克己復礼」(1-A8)「獅子奮迅」(3-A2)「日々進化」(3-A6)「日々是好日」(3-S2、3-A3)などは、学級目標をタイトルにしていたり、担任の願いをストレートに反映しています。

    「後生可畏」(3-S1)、これは難しい。辞書ひいてしまいました。「こうせいかい」と読み、若い人はまだまだ可能性を秘めているので敬うべきだという意味だそうです。3年のクラスにふさわしいし、漢語の学習にもなりましたね。

    「邂逅」(2-A1)、「かいこう」はクラスでの初めての出会いを大切にしたいと考えてタイトルにつけたそうです。「東雲」(1-A3)、「しののめ」は夜明け前、東の空がわずかに明るくなるころ、「入学してきた皆さんにぴったり」とのこと。

    漢語ではありませんが「凛と咲く花のように」(2-A5)、雨や強い風にも負けずに咲き続けてる花になってほしい、同時に「私(担任)自身も凛とした担任を目指したい」。

    花では「さくら咲くまで」(3-A4)、来年春の進路決定が楽しみです。

    英語・外国語

    そして外国語のタイトルです。

    「Departures」(2-I1)は「出発、出国、旅立ち」、「Wings」(3-A5)「SPECIAL」(2-S1)、「Assist」(2-A7)、「Future」(進路指導部通信)などは、それぞれのクラス生徒の状況をふまえて、「向かっていく、はばたいて欲しい」という教員の願いが感じられます。

    「Butterfly Effect 蝶の小さな羽ばたきが、時に大きな嵐となる」(3-A7)、これも思わず調べてしまいました。小さな変化が別の場所で大きな影響を持つ現象をさすそうです。進路実現を目指す3年生へのメッセージ、エールですね。

    「Animato」(1-A7)「アニマート」、イタリア語で音楽を表現する時に使われることば「元気に、生き生きと」、「Gran Alegria」(2-A2)はスペイン語で「大歓声」、「静かで落ち着いた日常もあれば大歓声にわくときもある、そんな1年にしましょう」と呼びかけました。

    最後にこれ。
    「Where there is a will、there is a way」(1-A1)、「意志あるところに、道は開ける」。アメリカ大統領、リンカーンのことばだそうです。クラス通信にとどまらず、生徒みなさんに贈りたいことばですね。

    1学期終了、夏休みを前に発行された学級通信の数々(一部です)

  • 2023.07.20

    「極楽征夷大将軍」--祝 直木賞受賞

    20日の朝刊各紙などで伝えられていますが、第169回直木賞に垣根涼介さんの『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)、永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』(新潮社)が選ばれたとのこと。「極楽」はつい先日読んだところなので(直木賞候補として発表される前です)、こちらだけ少し感想を。

    あらすじについては、以下、2紙の記事が簡潔にして十分かと。プロの記事なのであたり前ですが。

    <毎日新聞7月20日朝刊>
    「向上心も野心もなく、周囲から「極楽殿」とからかわれた尊氏がなぜ天下を取れたのか。数奇な人生を弟・直義、重臣・髙師直の視点から描いた」

    <朝日新聞7月20日朝刊>
    「受賞作は室町幕府の初代将軍、足利尊氏の半生を弟の直義と側近の髙師直の目から描いた歴史巨編。野心も信念もなく、周りから「極楽殿」と陰口をたたかれていた尊氏が、激動の南北朝期を生き抜いた謎に迫る」

    日本の歴史の中で異論のない三つの幕府、鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府のトップが「征夷大将軍」という役職に任命される慣習があることは、いまさら説明の必要はないでしょう(これ以外にも鞆(広島県)に幕府があったといった説もありますが、とりあえずは教科書的にこの三つで)。

    それぞれの幕府の初代将軍、源頼朝、足利尊氏、徳川家康の3人を比べた時に、頼朝や家康の生涯は比較的わかりやすく、みずからがリーダーになるべく「野心」や「向上心」「信念」などを持って行動していたことがうかがえます。だからというわけではないでしょうが、それだけに小説、ドラマにもなりやすい。

    ところが尊氏はどうでしょうか。源氏の名門でありながらくすぶっていた足利氏でしたが、後醍醐天皇の鎌倉幕府打倒の呼びかけに応じて挙兵し、活躍するあたりまではわりとわかりやすい。ところが、鎌倉幕府が倒れた後に後醍醐天皇政権と相いれなくなり、別の天皇を擁立して対立、後の南北朝対立が始まります。

    そこに、弟の直義、重臣の髙師直とその一族、もともと足利氏と関係が深く関東で力を持っていた上杉氏、さらには尊氏の子らが敵味方に分かれあるいは時に手を組むなどしてあちこちで戦い続ける。敵対していたはずの南朝とも一時的に和解してしまう。小説やドラマにはしにくいでしょう。

    歴史研究での尊氏と直義との関係については、戦後の中世史研究をリードした佐藤進一先生(故人)の、二人の役割分担についての画期的な論考があり、その後、批判も出てきていますが、いまでも、この佐藤先生の考え方は引用され続けています。

    大胆に解釈すると、尊氏は軍事面、直義が政治担当といったくくりで、学術用語として尊氏は人(武士)を従える「主従制的支配権」、直義が「統治権的支配権」を担ったと説明されます。乱暴に言い換えると尊氏が武士の「リーダー」としてほかの武士を従える立場、その武士たちの領地の争いなど政治的なことは直義が仕切る、といったところでしょうか。

    垣根さんの小説も、この考え方から大きく外れてはいない印象ですが、肝心なところはほとんど直義、髙師直が仕切っているようにも読めます。もっといえば、尊氏はほとんど「お飾り」。それについて尊氏本人に何の不満もなく、直義に感謝し続けているあたりが「極楽殿」なのでしょう。ただ、尊氏の不思議な魅力というか裏表のないキャラクターに心酔してしまう武士も描かれていて、そのあたりに「リーダー」としての尊氏の素養を描いているようにも読めました。

    ちょっと飛躍した読後感としては、おれがおれがで前面に出るリーダーより、むしろトップが何もしない方がうまくいく、といった、日本の歴史の中で結構あるパターンがここにもあてはまるのかな、とも思いました。

    朝日新聞にあるように「巨編」で、結構なページ数。ちょっと中だるみ感もありましたが、おもしろく読めました。

    垣根さんの歴史ものとしては『信長の原理』『光秀の定理』があり、どちらも読んでいるはずなのですが、内容はすぐに出てきません。タイトルからして面白そうですよね。後日機会があれば。

    尊氏、直義の兄弟が対立、それぞれに各地の勢力が加担し、全国で戦闘が続いた状態は当時の元号を用いた歴史用語で「観応の擾乱(じょうらん)」と呼ばれます。そのものズバリのタイトル『観応の擾乱 』(亀田俊和、中公新書、 2017年)。サブタイトルに「 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い」とあります。

    佐藤先生の著作としてはこれ。論文でなく一般向けですが、内容は高度ながら実に読みやすい。名著だと思います。学生時代に読んで最近、買い直して読み直しました。
    『日本の歴史 9 南北朝の動乱 』(中公文庫、1974年、改版2005年)

  • 2023.07.19

    教員も学びます

    夏休みを前にした19日、校内で金融教育に関する研修を行い、教職員が金融機関の専門家から学びました。

    学生・生徒がインターネットやSNSを通じていわゆる「もうけ話」に騙されたり、あるいは犯罪に加担してしまう例も増えてきています。

    金融教育の必要性が指摘されるようになり平成30年告示の高等学校学習指導要領でも、公民編で「資産運用にともなうリスクとリターン」について理解できるようにすることが大切とされ、また家庭編では「基本的な金融商品の特徴(メリット・デメリット)、資産形成の視点にも触れるようにする」と示されています。

    本校でも今後、より充実した金融教育を展開していくために、指導にあたっての基礎知識のおさらい、指導するうえでの注意点を確認するとともに、「貯蓄から投資への潮流」といった最新動向も学ぼうと、埼玉りそな銀行、りそなアセットマネジメント株式会社から専門家を招いてのセミナー研修会を持ちました。

    夏休み期間中は教員が個々に研修にでかけ、指導力の向上に努めます。生徒だけでなく教職員にとっても夏は学びの季節です。

  • 2023.07.18

    看護・医療系進学希望者向けの講座を開きました――18日

    まもなく夏休み、大学進学・進路実現にとって夏をどう過ごすかは重要です。3年生はもちろん2年生にも大学のオープンキャンパスに出かけるよう呼びかけていますが、校内でも進路選択の参考になればと18日、看護・医療系進学を考えている生徒向けの講座が開かれました。

    進路指導部の教諭が、看護・医療系の大学に進んだ先輩たちが多くいることを紹介しながら、医療従事者として働くにあたっての心構えは何かと、問いかけました。また、医療従事者にはコミュニケーション能力が求められるので、入試にあたっては面接や小論文が重視されることが説明されました。

    脳死や尊厳死、現代医療の抱えるさまざまな問題についての知識を持ち、自分の考えを伝えられるよう準備をしていくことも必要になってくる、などの話もありました。

    /
    講座会場は校舎群から少し離れた丘の上にある多目的施設 FVB(Future View Base)でした
    /熱心にメモをとっていました

    本校の進路指導についてはこちらをどうぞ

    生徒の進路実績・進路データについてはこちらから

  • 2023.07.15

    消えたことば その2

    「三省堂国語辞典(三国)」の改訂によって辞典から削除されたことばを集めた「消えたことば辞典」。ではこの三国の改訂作業はどう行われているのか。かっこうの本があります。

    『辞書を編む』(飯間浩明、光文社新書、2013年)

    飯間さんは「三国」の編集委員。第6版から第7版への改訂のタイミングで、辞書作りの現場を生き生きと描いています。

    三国を生み出した辞典編集者、見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)の仕事についても当然とりあげています。そもそも辞典ができる時の話しまでさかのぼるときりがないのですが、やはりその仕事ぶりはすごい。見坊が集めたことば、その用例がカードで保存されているのですが合計145万語になるそうです。三省堂の倉庫に残っているそうです。

    これだけの中から、「三国」に載ることばの数は初版で約5万7000語、見坊生前最後の刊行になる第4版で約7万3000語、そのように厳しく選ばれて辞典に載っても、消えてしまうことばがあるわけです。

    飯間さんも街を歩いては新しいことば、その使い方をさがす「用例採集」がやはり辞書編纂、改訂の基本作業だといいます。それらをもとに、新しく載せることばを編集部の会議で時間をかけて議論し、決めていくと紹介しています。あわせて、削除することばも選ばれていくわけですね。

    『辞書の仕事』(増井元、岩波新書、2013年)

    増井さんは「三国」と並ぶ代表的な国語辞典「岩波国語辞典(岩国)」の編集者。同書によると、「三国」や「岩国」などの、小型の国語辞典の収録の語数は6万程度が標準だが、各出版社が語数が多い方がアピールできると考えて収録語を増やす傾向にあり、7万から8万語くらいを収めているものもある、と説明されています。

    さらに、5万から6万近い日常基本語のレベルでは辞典による出入りというのはまずない、と書かれているので、新しいことばの採用と削除はかなり限られた範囲で行われていることになります。

    そんな中でも「三国」は新しいことばを積極的に採用することで定評があるようです。あたらしいことばを採用すると削除することばも多くならざるをえません。

    増井さんが自分の机に置いている辞典の一つが「三国」だそうで

    「編者見坊豪紀先生の現代語の観察が行き届いていること、生きのよい新しいことばと用法が、調査の裏付けをもって辞典に反映されていることは、誰も知っていました。私たちは、改訂版に何か新語を収載しようとするとき、そのことばが「三国」に載っていなければ、「三国」に先んじて収録することはないと考えたものです」

    「何か新しい語を載せるとすれば、まず「三国」が一番で、それにはしかるべきデータの裏付けがあるのだろう、ということだったのです」

    辞書編集者として他社の辞典、編集者への公平な評価、敬意が感じられます。「三国」の編集部にとっては結構なプレッシャーでもあるのでしょう。

    その増井さんが書いています。

    「辞典の職場で過ごした約30年間に、是非とも辞典の仕事がしたくて志願してやってきた、と公言する人には出会いませんでした」
    辞典編集の現場を描いた小説・映画『舟を編む』の主人公も確かそうでした。

    豊かな文化を維持するために辞典はなくてはならないものです。辞典編集にあたるみなさん、ご苦労さまです。これからもよろしくお願いします。

    余談ですが「消えたことば辞典」の編者は見坊行徳さん。見坊さん、ちょっと珍しい名前ですよね。そう、飯間さんも増井さんも言及している見坊豪紀のお孫さんだそうです。

    国語辞典、見坊豪紀については「辞典・辞書は何冊もっていますか」(5月27日)でも少し書きました。

  • 2023.07.14

    消えたことば その1

    「いやあ、うまい本の作り方だな」「たぶん全部は読まないだろうな」と思いながらも、即買いでした。

    『三省堂国語辞典から 消えたことば辞典』(見坊行徳・三省堂編修所編著、三省堂、2023年)

    「三国」の略称・愛称で知られる「三省堂国語辞典」は1960年に初版発刊、2022年に最新の第8版が発刊されましたが、その間に新しいことばが次々と生まれ、その中から辞典に加えられることばがでてくる。その一方で、載せられることばの数には限りがあるので、削除されることばがあるわけです。

    そのような「消えたことば」だけを集めて一冊の本にしてしまいました。削除されたことばだけ集めた本を作って欲しいという要望が寄せられていたそうで、それを受けてできた本なのでしょうが、そのことばが載っていた辞典の版に掲載された紙面のまま並べています。なので、見出し語や語釈(言葉の意味)、用例などの並び方や字形などが微妙に異なっているところに味があります。いやはや、すごい発想です。

    ここにでてくる消えたことばを個々に紹介していったらきりがありません。「消えたことば辞典」とありますが、基本はぱらぱらと読んで、「えっ、この言葉はもう辞典に載っていないのか」と愕然とし、あるいは「そうだろうな」と懐かしんで楽しむ本だと感じます。

    ただ、「もう載っていないのか」と愕然とすることばが多く見つかる人はやはり相応の年齢の人(私がそうでしょうね)、ここにでてくることばが「新語」になる人は当然若い人、ということになりますよね。

    さーっとみてやはりと思うのは「ニューメディア」や「パソコン通信」などコンピュータやIT関連のことば(特にカタカナ語)が目立ちます。また、ある時期学生生徒の間で使われていたことばやファッションなどが出てくると気になります。自身にとってなじみがあっても今の生徒の前で使っても通用しないでしょうから、気をつけたい、そんな利用の仕方もありかもしれませんね。

    さて、なぜどのように削除するのか。

    「小型国語辞書には、今の社会に広まり、かつ定着したと判断されたことばや語義が再録されます。その「今」から外れれば、改訂時(版が新しくなる時)に削除される運命にあります」とし、消える理由をあげています。

    ・そもそもの存在が確認し難い語
    ・時の流れで忘れ去られた語
    ・制度の変更などにより消滅した用語
    ・モノとして下火になったり需要が減ったりして存在感の薄れた語
    ・編集方針上ふさわしくないと判断されて削られた語

    などだそうです。

  • 2023.07.13

    野球部県大会2回戦 惜敗

    全国高等学校野球選手権埼玉大会で13日、本校は所沢航空公園球場での2回戦で城西大川越高と対戦しましたが、惜しくも敗れました。

    いったんはリードを奪ったものの追いつかれ、終盤勝ち越しを許しました。それでも最終回1点差に追い上げる粘りをみて、スタンドの生徒、保護者らから最後まで熱い応援が送られていました。

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    応援、ありがとうございました